CTA(読者に次の行動を促すボタンやリンク)の改善は、ページごとに「押した人が何を手にするか」を1つ決め、それを文言に書き、読者が決めるタイミングの場所に置く作業です。色や大きさで目立たせるのは、この3つが決まった後の仕上げです。
「CTAを改善しよう」と話が出ると、ボタンの色を変える、大きくする、ページの何か所にも置く、という案が先に出ます。どれも編集画面ですぐできる直しで、やった感もあります。ただ、押した先に何があるのか分からないボタンは、どれだけ目立っても押す理由がありません。逆に、地味な文字リンクでも「見積もりの目安を3分で確かめる」と書いてあれば、費用を知りたい人は押します。CTAの改善で先に決めるのは見た目ではなく、押した先で読者が何を手にするかです。
この記事は、いまあるCTAを直して問い合わせを増やすための手順をまとめたものです。文言の書き換え方、置く場所と数、ページの温度に合わせた一歩の重さの変え方、生成AIに聞いてから来る人への出し方、直した効果の測り方の順に進みます。CTAは問い合わせまでの道のりの一部分なので、道の全体像はこの主題のハブ記事であるホームページの問い合わせを増やす方法|今日直せる10項目にあります。ハブ記事の④「問い合わせボタンの文言を変える」を、この記事で1本分に広げています。
CTAとは何を決めることか
押した先の一歩を1つ決める
CTAは英語のCall To Actionの略で、日本語にすると行動の呼びかけです。「お問い合わせ」「資料をダウンロード」「無料相談を予約」といったボタンやリンクがこれに当たります。
CTAを作るとは、読者にこのページで次に踏んでほしい一歩を1つ決めることです。決めるのは3点で、誰に向けたページか、その人にいま踏んでほしい一歩は何か、その一歩を踏むと何が手に入るか、です。この3点が決まれば、文言も場所もほとんど自動的に決まります。逆にこの3点が曖昧なまま「お問い合わせ」のボタンを置くと、誰にも向いていないボタンになります。
目立たせるのは最後
上位の解説記事を読むと、色のコントラスト、ボタンの大きさ、余白、押した感触の演出、といった見た目の話が多くの分量を占めます。見た目が悪ければ押されないのは確かですが、見た目を直す前に文言と場所が決まっていないと、目立つ位置にある意味の無いボタンができあがります。
見た目の直しは、文言と場所を直してから、それでも見落とされているときに行います。順番を守るだけで、直しの手戻りが減ります。
直す順番は文言→場所→数→見た目
この記事で扱う手順の順番を先に書いておきます。
- 文言:押した先で手に入るものを書く
- 場所:読者が決めるタイミングの位置に置く
- 数:ページの温度に合わせて一歩の重さを変え、必要な数に絞る
- 見た目:ここまで直しても見落とされているときだけ色や大きさを変える
順番を守る理由は、効果の切り分けです。4つを同時に変えると、翌月に問い合わせが増えても減っても、何が効いたか分かりません。1つずつ変えて1か月見るのが、少人数で回す会社には現実的です。
文言は「手に入るもの」で書く
「お問い合わせ」が弱い理由
「お問い合わせ」という文言は、サイト側の都合で書かれた言葉です。会社から見れば「問い合わせを受け付ける窓口」ですが、読者から見ると、押すと何が起きるのか、誰が出てくるのか、費用がかかるのか、営業の電話が来るのか、何ひとつ分かりません。分からないものは押されません。
同じことは「詳しくはこちら」「もっと見る」にも言えます。何が詳しく分かるのか、何が見えるのかを書いていない文言は、リンクであることしか伝えていません。
動詞と得るものを1つずつ
文言は「得るもの+動詞」の形で書きます。「見積もりの目安を確かめる」「導入事例を読む」「初回相談を予約する」のように、押すと何が手に入るかと、何をするのかを、それぞれ1つずつ入れます。
得るものの候補は、読者が問い合わせの前に知りたいことから選びます。費用の目安、対応できる範囲、進め方、期間、担当する人、実績、の6つが定番です。自社のページで、どの疑問に答えるボタンかを決めます。
動詞は、実際に起きることに合わせます。フォームに進むだけなら「相談を申し込む」、PDFが手に入るなら「資料を受け取る」、電話につながるなら「電話で聞く」です。「無料で診断する」と書いてあるのに、押した先が普通の問い合わせフォームだったときの落胆は、問い合わせをやめる十分な理由になります。
添える1行で不安を消す
ボタンの文言は短くします。その代わり、ボタンのすぐ上か下に1行を添えて、押す前の不安に答えます。この1行は、マイクロコピーとも呼ばれます。
不安の中身は、ほぼ次の4つです。
- 費用がかかるのではないか:「相談は無料です」
- 営業の電話が来るのではないか:「営業のお電話はしません」
- 返事が来るまでに時間がかかるのではないか:「2営業日以内にメールで返信します」
- 送った後に何が起きるのか分からない:「返信で日程の候補をお送りします」
どの不安が強いかは業種で違います。相談の前に費用を心配する読者が多いなら1つ目を、電話を嫌う読者が多いなら2つ目を優先します。1行に全部を詰め込むと読まれないので、そのページの読者が最も気にする1つを選びます。押した先のフォームで同じ不安にもう一度答える方法は、問い合わせフォームの改善|離脱を減らす項目設計の手順にまとめています。
書き換え前後の例
いまある文言を書き換える例を挙げます。
- 「お問い合わせ」→「初回相談を予約する」+「相談は無料です。営業のお電話はしません」
- 「資料ダウンロード」→「導入までの流れが分かる資料を受け取る」+「PDF12ページ。入力はメールアドレスだけです」
- 「詳しくはこちら」→「料金の内訳を見る」
- 「無料診断」→「現状の課題を診断シートで確かめる」+「結果は画面にそのまま表示されます」
書き換えの共通点は、押した先で何が手に入るかを書き、その手前で気になることを1行で片付けている点です。凝った言葉は要りません。
配置は読者が決める場所に
最初の画面と読み終えた末尾
CTAを置く基本の位置は2か所です。ページを開いて最初に見える画面と、本文を読み終えた末尾です。
最初の画面に置くのは、すでに決めている人のためです。会社名で検索して来た人、他社と比べ終えた人は、本文を読まずに問い合わせに進みたいことがあります。この人たちに本文をスクロールさせるのは、余計な手間です。
末尾に置くのは、読んで納得した人のためです。本文で費用や進め方を確かめ、この会社に聞いてみようと決めた直後に、次の一歩が目の前にあることが大切です。末尾にCTAが無いと、読者はページの上まで戻るか、メニューから問い合わせを探すことになり、その途中で気が変わります。
本文の途中は「答えた直後」
本文の途中にCTAを置くなら、位置は「読者の疑問に答えた直後」です。費用の目安を書いた段落の直後に「見積もりの目安を確かめる」、実績を書いた段落の直後に「同じ業種の事例を読む」というように、答えた内容と一歩の内容をそろえます。
段落の内容と関係の無いCTAを本文の途中に差し込むと、読者は読む流れを止められたと感じます。特に、読み始めてすぐの位置に大きなボタンを置くと、まだ何も分かっていない読者に決断を迫ることになり、逆に読み進めるのをやめる理由になります。
スマホの追従ボタンの扱い
スマホの画面下に常に表示される追従ボタンは、いつでも押せる便利さがある一方で、本文を隠し、読者の集中を削ります。使うなら、ボタンの高さを1行分に抑え、文言は「電話で聞く」「相談を申し込む」のように一歩が分かるものにします。
追従ボタンを置いたら、自分のスマホで本文を最後まで読んでみます。本文の末尾や表の最後の行が追従ボタンで隠れていないか、フォームの送信ボタンと重なっていないかを確かめます。パソコンの画面で作った人には、この重なりが見えません。
数を増やしても率は上がらない
CTAを増やせば押される機会が増える、という考えは半分だけ正しいです。同じ文言のボタンをページに5つ置いても、読者が問い合わせを決めるタイミングは1回しかありません。増えるのは、決めていない人の目に入る回数だけです。
数を増やすより、置く位置を読者が決めるタイミングに合わせるほうが、率は動きます。同じページに違う一歩のCTAを置くなら、次の章で扱う「一歩の重さ」を変えて置きます。同じ重さのCTAを並べても、読者の選択肢は増えていません。
ページの温度で一歩の重さを変える
3段の一歩に分ける
読者がいま踏める一歩には重さがあります。重いほうから順に、相談や見積もりを申し込む、資料を受け取る、別の記事を読む、の3段に分けます。
- 重い一歩:初回相談を予約する、見積もりを依頼する、電話で聞く
- 中くらいの一歩:資料を受け取る、事例集を読む、セミナーに申し込む
- 軽い一歩:関連する記事を読む、よくある質問を見る、料金ページを見る
重い一歩は、会社と接点を持つことを決めた人しか踏めません。中くらいの一歩は、まだ決めていないが情報は欲しい人が踏みます。軽い一歩は、調べ始めたばかりの人が踏みます。どの一歩をどのページに置くかは、そのページに来る読者の温度で決めます。
記事ページには軽い一歩
「CTAの改善」「問い合わせフォームの作り方」のような情報を探す語で検索して来る読者は、まだ会社を探していません。この読者に「初回相談を予約する」だけを見せても、踏める一歩ではないので押されません。
記事ページの末尾には、軽い一歩か中くらいの一歩を置きます。同じ主題の別の記事、まとめ資料、よくある質問です。踏める一歩を用意すると、読者は会社のサイトに留まり、名前を覚えます。次に会社名で検索して戻って来たとき、重い一歩を踏みます。資料を一歩に使う場合、受け取ってもらうまでの段の作り方はホワイトペーパーのダウンロードを増やす方法|伸びない段を見つけて直すにあります。
サービス・料金ページには重い一歩
サービスの説明ページや料金ページに来る読者は、何を頼めるか、いくらかかるかを確かめに来ています。ここには重い一歩を置きます。「初回相談を予約する」「見積もりを依頼する」を最初の画面と末尾に置き、費用や進め方を書いた段落の直後にも同じ重さの一歩を添えます。
ただし、重い一歩だけにすると、まだ決めきれない人の受け皿が無くなります。末尾には重い一歩の隣に、中くらいの一歩を1つ添えます。「まずは資料で確かめる」という逃げ道があると、重い一歩を押さない人も帰らずに済みます。
一覧表にして抜けを見る
ここまで決めたら、表を1枚作ります。縦にサイトの主なページ、横に「読者の温度」「置いてある一歩」「文言」「位置」の4列です。10ページ程度の会社サイトなら、30分で埋まります。
表にすると抜けが見えます。よくあるのは、すべてのページに「お問い合わせ」だけが置いてあり、記事ページに軽い一歩が無い状態です。もう1つは、料金ページに重い一歩が無く、読者が費用を見て納得した直後に行き先が無い状態です。表の空欄を埋める順番が、そのまま直す順番になります。
AIに聞いてから来る人への出し方
比較を終えた人は途中で決める
生成AIに「この業種でこういう会社はどこか」と聞き、返ってきた候補から会社名で検索して来る読者が増えています。この読者は、来る前に候補の比較を済ませています。サイトで確かめたいのは、AIの答えに無かった残りの点だけです。
比較を終えた人は、ページを最後まで読みません。自分が知りたい点を書いた段落に着いた時点で決めます。この人にとって、末尾のCTAは遠すぎます。費用の段落、対応範囲の段落、実績の段落、という「決め手になる段落」の直後に一歩を置くことが、AIに聞いてから来る人に対しては末尾より効きます。
AIが言わなかった残り1点を文言に
生成AIの答えには、載りやすい情報と載りにくい情報があります。載りやすいのは、会社の概要、扱っている領域、所在地です。載りにくいのは、具体的な費用、いまの空き状況、担当する人の顔、問い合わせた後に何が起きるか、です。
AIに聞いてから来る人に向けたCTAの文言は、この載りにくい情報を手に入れる一歩にします。「いまの空き状況を確かめる」「担当者の顔と経歴を見る」「見積もりの目安を受け取る」です。AIの答えで済んだことをもう一度説明するボタンは、この読者には要りません。AIに答えられる会社の情報を整える話は、AIMA BLOGのAI検索で問い合わせを増やすには?AIに選ばれる会社になるための実践策にまとめています。
生成AIに自社ページを読ませて点検する
いまあるCTAが読者の疑問に答えているかは、生成AIに自社のページを読ませると短時間で確かめられます。手順は3つです。
- サービスページの本文をそのまま貼り、「このページを読んで初めて知った会社の担当者として、問い合わせる前に確かめたいことを5つ挙げてください」と頼む
- 挙がった5つの疑問に、ページのどこで答えているかを自分で確かめる
- 答えていない疑問は本文に段落を足し、その段落の直後に、疑問の答えが手に入る一歩を置く
この手順で使うのは、生成AIが文章を書く力ではなく、初見の読者になりきって疑問を出す力です。文言そのものを生成AIに書かせると、どの会社にも当てはまる言葉になりがちなので、疑問を出すところまでに留め、文言は自社の言葉で書きます。
直した効果の測り方
クリック数と完了数を分けて見る
CTAの効果は、押された数(クリック数)と、押した先で問い合わせを終えた数(完了数)に分けて見ます。クリック数だけ増えて完了数が増えないなら、文言と押した先の中身がずれています。「無料診断」と書いたのにフォームだけが出てくる、というずれです。クリック数が動かないなら、文言か位置の問題です。
完了数はGA4で測れます。問い合わせ完了ページの表示や送信ボタンの押下をイベントとして記録し、それをキーイベント(以前の呼び名はコンバージョン)に指定します。設定の手順はGoogleのキーイベントを作成または変更するにあります。クリック数のほうは、Googleタグマネージャーでボタンごとにクリックのイベントを送ると、どの位置のどの文言が押されたかを分けて数えられます。設定に自信が無ければ、制作会社に「CTAごとにクリックのイベントを分けて送ってほしい」と頼めば足ります。
1か所ずつ変えて翌月と比べる
変えるのは1か月に1か所です。文言を変えた月は位置を変えません。変える前の月と後の月で、そのページのクリック数と完了数を並べます。訪問数が大きく変わっていないことも一緒に確かめます。訪問数が増えた月は、CTAを変えなくてもクリック数は増えるからです。
問い合わせの数だけでなく、問い合わせの中身も数えます。文言を「見積もりの目安を確かめる」に変えた後で、見積もりの依頼が増えて雑談のような問い合わせが減れば、数が同じでも改善です。問い合わせが少ない原因がCTAの手前にあるのか、CTAそのものにあるのかを切り分ける方法は、Webサイトの問い合わせが来ない原因|5段で切り分けて直すの第3段と第4段にあります。
A/Bテストは訪問数が足りるときだけ
2つの文言を同時に出し分けて比べるA/Bテストは、上位の解説記事のほとんどが勧めています。正しい方法ですが、月に数百人しか来ないページでは、2つの差が偶然なのか本物なのかを見分けるだけの数が集まりません。差が出たように見えても、翌月には逆転します。
訪問数が少ないサイトでは、月ごとに1か所ずつ変えて前後を比べるほうが、判断を誤りにくいです。A/Bテストに進むのは、1つのページに月に数千人が来るようになってからで足ります。
まとめ
CTAの改善は、ページごとに「押した人が何を手にするか」を1つ決め、それを文言に書き、読者が決めるタイミングの場所に置く作業です。目立たせるのは最後です。
- 文言は「得るもの+動詞」で書き、押す前の不安に1行で答える
- 場所は最初の画面と末尾を基本にし、途中に置くなら疑問に答えた直後に置く
- 数を増やしても率は上がらない。ページの温度に合わせて一歩の重さを変える
- 記事ページには軽い一歩、サービス・料金ページには重い一歩と、その隣に中くらいの一歩
- 生成AIに聞いてから来る人には、決め手の段落の直後に、AIが答えなかった残り1点を手に入れる一歩を置く
- 効果はクリック数と完了数に分けて測り、1か月に1か所ずつ変えて前後を比べる
直す順番は、文言、場所、数、見た目です。この順番を守ると、翌月の数字が動いたとき、何が効いたのかが分かります。