ホームページの問い合わせを増やす方法は、問い合わせ数を「訪問数×問い合わせ率」の掛け算に分けて、自社の数字でどちらが細いかを先に確かめ、細いほうを出口(フォームとボタン)から順に直すことです。訪問者を増やす手前に、いま来ている人を取りこぼしていないかを見ます。
「問い合わせを増やす方法」を調べると、SEOで訪問者を増やす、ボタンを目立たせる、フォームの項目を減らす、実績を載せる、といった施策が10個から14個並びます。どれも実際に効く施策です。ただ、月に100人しか来ていないサイトと、1,000人来ているのに問い合わせが月1件のサイトでは、最初に手を付ける場所が正反対です。施策の一覧より先に要るのは、自社がどちらの型かを知ることです。
この記事では、まず問い合わせ数を2つの数字に分けて自社の型を決める手順を示し、次に今日直せる10項目を、出口、中身、入口の順に説明します。そのうえで、訪問者が生成AIに聞いてからホームページに来るようになった時代に何を備えるか、直した後にどの数字を見るかを扱います。読者は、自社サイトを持つ中小企業の経営者と、兼任でWeb担当をしている人を想定しています。
問い合わせが増えない2つの原因
訪問数×問い合わせ率で分ける
問い合わせは、ホームページに人が来て、その人がフォームか電話で連絡してはじめて1件になります。だから問い合わせ数は次の式で表せます。
- 問い合わせ数=訪問数×問い合わせ率
訪問数は、ひと月にホームページを見た人の数です。問い合わせ率は、そのうち連絡してきた人の割合です。問い合わせが少ない原因は、この2つのどちらかが細いことに尽きます。人が来ていないのか、来ているのに連絡されていないのか。この切り分けを飛ばして施策一覧を上から順にやると、効いているのかどうかが分からないまま手が止まります。
GA4で2つの数字を出す
2つの数字は、無料のアクセス解析であるGA4(Googleアナリティクス4)で出せます。必要なのは次の2つです。
- ひと月の訪問数(レポートの「ユーザー」または「セッション」)
- 問い合わせ完了の数(フォーム送信後の完了ページの閲覧数、または送信をキーイベントとして記録した数)
完了ページの閲覧数を訪問数で割れば、問い合わせ率が出ます。電話の問い合わせは、GA4では数えられません。受付の人に「ホームページを見た」と言われた件数をメモしてもらい、フォームの数に足します。ここまでで、先月の自社の訪問数と問い合わせ率が手元に並びます。
GA4を入れていない、または入れたが完了ページを見たことがない、という会社は多いです。その場合は、問い合わせメールの受信件数と、サーバーの管理画面にあるアクセス数で代用して構いません。精度より、2つの数字を並べることが先です。
目安より先月の自社と比べる
「問い合わせ率の平均は何パーセントか」を知りたくなりますが、業種とサイトの目的で数字はまるで違い、他社の平均は判断に使えません。使うのは自社の先月の数字です。訪問数が3桁に届いていなければ、まず入口を直します。訪問数が3桁以上あって、問い合わせが月に数件しかないなら、来ている人を取りこぼしているので、出口と中身を直します。
多くの中小企業のサイトは後者です。会社名で検索した人や、営業から名刺をもらった人がサイトを見に来ているのに、問い合わせページで止まっています。この型のサイトは、訪問者を増やす前に、いま来ている人が連絡しやすくするだけで問い合わせが増えます。
今日直せる10項目の全体像
出口・中身・入口の3段に分ける
10項目は、訪問者がたどる道を逆から3つに分けたものです。
- 出口(4項目):フォームと問い合わせボタン。連絡すると決めた人を逃さない段
- 中身(3項目):最初の画面、費用、実績。連絡するかどうかを決めてもらう段
- 入口(3項目):スマホ表示、検索語、表示速度。サイトに来て、読み始めてもらう段
どの項目も、制作会社に頼まなくても、サイトの編集画面を触れる人なら今日中に手を付けられます。デザインの作り直しや、新しいページの追加は含めていません。
順番は出口から
順番は出口からです。理由は2つあります。1つは、出口は連絡しようと決めた人が通る場所なので、直した効果が問い合わせ数にいちばん早く出ることです。もう1つは、入口を直して訪問者を増やしても、出口で逃げられていれば、増えた分もそのまま逃げるからです。
ホワイトペーパーのダウンロードでも同じ考え方を使います。入口、到達、フォーム、本数の4段に分けて、いちばん細い段から直す手順はホワイトペーパーのダウンロードを増やす方法|伸びない段を見つけて直すにあります。この記事の10項目は、その考え方をホームページ全体の問い合わせに当てはめたものです。
出口を直す4項目(①〜④)
①フォームの項目を減らす
問い合わせフォームを開いて、入力欄を数えます。会社名、氏名、メール、電話、住所、部署、役職、件名、本文、希望日時、と10個近く並んでいることがよくあります。連絡するのに本当に要るのは、氏名、メール、本文の3つです。電話番号は任意にします。住所と部署と役職は、返信の後に聞けば足ります。
「必須」の印が付いた欄が多いほど、途中でやめる人が増えます。入力欄を減らすのは、編集画面で今日できて、効果が出やすい直しです。減らした後は、自分でスマホから送信まで一度やってみます。エラーの出方、確認画面の有無、送信ボタンの押しやすさを、訪問者と同じ手順で確かめます。
②送信後に何が起きるかを書く
フォームの上か送信ボタンの近くに、送った後の流れを1行で書きます。「担当者から2営業日以内にメールで返信します」「営業の電話はしません」という文です。連絡をためらう理由の多くは、送った後に何が起きるか分からないことです。しつこい営業電話が来るのではないか、返事はいつ来るのか、という不安を、送る前に消しておきます。
送信後の完了ページにも、同じ文をもう一度書きます。完了ページは、GA4で問い合わせ数を数えるための場所でもあります。完了ページが無く、送信すると元のフォームに戻るだけの作りになっているなら、完了ページを1枚作るところから始めます。
③電話番号と受付時間を並べる
フォームを書くのが面倒で、電話のほうが早いと考える人は、年配の経営者が多い業種ほど目立ちます。問い合わせページとサイトの上部に、電話番号と受付時間を並べます。スマホでは番号を押せばそのまま発信できるようにします。受付時間を書かないと、時間外にかけてつながらず、そのまま離れていきます。
電話で受けた問い合わせは、受付の人に「何を見て電話したか」を一言だけ聞いてもらいます。ホームページを見た件数を毎月数えれば、GA4では見えない電話の問い合わせを、冒頭の式の問い合わせ数に足せます。
④問い合わせボタンの文言を変える
サイトのあちこちにある「お問い合わせ」のボタンを、「無料で相談する」「見積もりを依頼する」「資料を受け取る」のように、押した後に何が手に入るかが分かる言葉に変えます。「お問い合わせ」は何をしてもらえるのかが分からず、押す理由になりません。
ボタンの場所は、各ページの最初の画面と、本文を読み終えた末尾の2か所に置きます。ページの途中に何度も置く必要はありません。文言を変えたら、変える前の月と後の月で、問い合わせ率を比べます。変えたのが1か所なら、何が効いたかが分かります。
中身を直す3項目(⑤〜⑦)
⑤最初の画面で「誰の何を」言い切る
トップページを開いて、スクロールせずに見える範囲だけを見ます。そこに「誰の、どんな困りごとを、どう解決する会社か」が1文で書いてあるかを確かめます。「お客様の課題に寄り添う」「豊富な実績で安心」のような言葉は、誰にでも当てはまるので、自分向けかどうかが分かりません。「製造業の採用ページを、社内で更新できる形で作る会社です」のように、相手と仕事を具体に書きます。
訪問者は最初の画面で、自分の困りごとを扱っている会社かどうかを判断し、違うと思えばそこで閉じます。ここを直すのは文章の書き換えだけなので、今日できます。書き換える前に、営業担当に「お客さんは最初に何を聞いてくるか」を聞いて、その答えをそのまま1文にするのが近道です。
⑥費用の目安を書く
「費用は個別にお見積もり」としか書いていないサイトは、費用を知りたい人を全員取りこぼしています。営業担当に聞くと、問い合わせをためらう理由として最初に挙がるのが、いくらかかるか分からないことです。正確な料金表が出せない仕事でも、「多くの案件は30万円から80万円の範囲です」「初回相談は無料です」のように、幅と起点は書けます。
費用を書くと安い競合に流れるのではないか、と心配する人がいます。実際には、費用を見て離れる人は、問い合わせても成約しない人なので、書いたほうが問い合わせの質が上がります。書く場所は、サービスページの本文と、問い合わせページの上部です。
⑦実績と担当者の顔を出す
連絡する前の人が確かめたいのは、この会社に頼んで大丈夫か、という一点です。それに答えるのは、実績の具体と、担当する人の顔です。実績は「導入実績多数」ではなく、会社名か業種と、何をして何が変わったかを1件ずつ書きます。許可が取れる顧客が1社でもあれば、その1件を丁寧に書くほうが、10件を匿名で並べるより効きます。
担当者の顔写真と名前、その人が普段どんな相談を受けているかを、会社概要か問い合わせページに載せます。誰が返事をくれるのかが分かると、連絡する心理的な壁が下がります。写真はスマホで撮ったもので足ります。撮り直しを待つより、今日載せることが先です。
入口を直す3項目(⑧〜⑩)
⑧スマホで自分のサイトを触る
自分のスマホで、トップページから問い合わせ完了まで実際に進みます。文字が小さくて読めない、ボタンが指より小さい、電話番号を押しても発信できない、フォームで入力欄がずれる、といった不具合は、パソコンで作った人には見えません。訪問者がどの端末から来ているかはGA4の「デバイス」で分かります。スマホが多いなら、スマホで壊れている限り、他の9項目を直しても届きません。
見つかった不具合は、編集画面で直せるものと、制作会社に頼むものに分けます。文字の大きさ、ボタンの文言、電話番号のリンクは、編集画面で直せることが多いです。
⑨どの検索語で来ているかを見る
無料のGoogle Search Consoleを見ると、自社のサイトがどんな検索語で表示され、どの語で押されているかが分かります。会社名での検索がほとんどなら、訪問者は営業や紹介で会社名を知ってから来ている人です。この場合、入口を広げるよりも、来た人を確実に問い合わせに導く出口と中身の直しのほうが効きます。
会社名以外の語、たとえば「製造業 採用サイト 制作」のような語で表示されているのに押されていないなら、検索結果に出る題名と説明文を、その語で探している人に向けて書き直します。ここは今日できる直しです。表示されている語そのものが少ないなら、記事で入口を増やす段階で、それは次の節で触れます。
⑩表示速度を測る
PageSpeed Insightsに自社のURLを入れると、表示速度の点数と、遅くしている原因が出ます。原因の上位はほぼ画像です。撮ったままの大きな写真を、縮小せずに載せているだけで、スマホでの表示が数秒遅れます。編集画面で画像を差し替えられるなら、サイズを小さくして載せ直します。
点数を満点にする必要はありません。「改善できる項目」の上位1つか2つ、たいていは画像の圧縮を直せば足ります。細かい技術の項目は、制作会社の担当に一覧を渡して判断してもらいます。
AIに聞いてから来る訪問者に備える
来た人は比較を終えている
訪問者の来かたが、ここ数年で変わりました。以前は検索結果から複数のサイトを開いて比べていましたが、いまは先にChatGPTやGoogleのAIに「製造業の採用サイトを作れる会社は」と聞き、返ってきた候補の中から会社名で検索して来る人が増えています。この人は、サイトに来た時点で候補の比較をほぼ終えており、残っているのは最後の確認だけです。
この変化は、10項目の重みを変えます。入口の3項目より、出口と中身の7項目のほうが、AIを経由して来る人にはずっと大きく効きます。会社名で来た人が最初の画面で「誰の何を」を確かめ、費用と実績を見て、フォームで止まらずに送る。この一連の流れの取りこぼしを減らすことが、AI時代の問い合わせ改善の中心になります。
問い合わせ前の3つの疑問に即答する
AIに聞いてから来た人が、サイトで確かめたい疑問は3つに絞られます。
- 本当に自分の困りごとを扱っている会社か(⑤の1文)
- いくらくらいかかるか(⑥の幅と起点)
- 連絡したら何が起きるか(②の送信後の流れ)
この3つが、トップページと問い合わせページの最初の画面で即答されていれば、AIを経由した訪問者は迷わず送信まで進みます。逆に、この3つのどれかが見つからないと、候補に戻ってほかの会社を見に行きます。AIに候補として挙げてもらうための対策は、この媒体の領分ではなく、AI検索で問い合わせを増やすには?AIに選ばれる会社になるための実践策で扱っています。この記事は、その手前の「候補に挙がった後、サイトで取りこぼさない」部分を受け持ちます。
生成AIに自社ページを読ませて初見の質問を出す
10項目の中身を直すときに、生成AIを「初めてサイトを見る人」の代わりに使えます。トップページと問い合わせページの文章を貼り付け、「この会社に初めて問い合わせを検討する人が、送信する前に確かめたくなる質問を10個挙げてください」と頼みます。出てきた質問のうち、ページの中に答えが無いものが、直す場所です。
自社のサイトは、作った本人には分かりすぎていて、初見の人が何を分からないかが見えません。生成AIは、その盲点を安く出してくれます。ただし、生成AIに文章そのものを書かせて、そのまま載せるのは向きません。出てきた質問に、営業担当の言葉で答えを書きます。
直した後に見る数字と続け方
2週間ごとに問い合わせ率を見る
10項目を直したら、GA4で訪問数と問い合わせ完了の数を2週間ごとに見て、問い合わせ率が動いたかを確かめます。訪問数が少ない会社では、問い合わせ数が1件増えるだけで率が大きく動くので、1回の数字で判断せず、月単位で前の月と比べます。
同時に複数の項目を直すと、何が効いたかは分かりません。ただ、この段階ではそれで構いません。分けて確かめるのは、問い合わせが月に2桁になってからで足ります。問い合わせ数を追う数字として据える時期の考え方は、オウンドメディアのKPI|立ち上げ期に追う数字と段階別の切り替えの「成熟期:問い合わせ数と指名検索」にあります。
問い合わせの質も数える
問い合わせが増えた後に見るのは、そのうち商談になった数です。件数だけ増えて、営業の時間を取られる問い合わせばかりになったなら、⑥の費用の書き方か、⑤の「誰の」の書き方が広すぎます。問い合わせフォームに「ご相談の内容」を選ぶ欄を1つ足すと、どの種類の問い合わせが増えたかが分かります。欄を1つ足すのは①と逆の動きなので、選ぶだけで済む形にして、入力の手間を増やさないようにします。
記事で入口を増やすのは次の段階
出口と中身を直し、いま来ている人を取りこぼさなくなったら、はじめて入口を広げる段階に入ります。会社名以外の語で見つけてもらうには、困りごとに答える記事を継続して出すのが、広告費をかけない方法として現実的です。記事を出す仕組みの作り方はオウンドメディアの作り方|立ち上げ7ステップと運用の型に、少人数で回す型は中小企業のオウンドメディア立ち上げ|少人数・小予算で回す型と手順にあります。
順番を逆にして、記事を先に書き始める会社が多いのですが、出口が塞がったままでは、記事で来た人もそのまま帰ります。まず10項目で受け皿を作り、その後に入口を広げます。
まとめ
ホームページの問い合わせを増やす方法は、問い合わせ数を「訪問数×問い合わせ率」に分けて自社の細いほうを確かめ、出口から順に直すことです。今日直せる10項目は次の通りです。
- 出口:①フォームの項目を減らす、②送信後の流れを書く、③電話番号と受付時間を並べる、④ボタンの文言を変える
- 中身:⑤最初の画面で「誰の何を」言い切る、⑥費用の目安を書く、⑦実績と担当者の顔を出す
- 入口:⑧スマホで自分のサイトを触る、⑨どの検索語で来ているかを見る、⑩表示速度を測る
生成AIに聞いてから来る訪問者は、比較を終えて最後の確認に来ています。「誰の何を」「いくら」「連絡したら何が起きるか」の3つに最初の画面で即答できていれば、その人を取りこぼしません。直した後は、問い合わせ率を月ごとに見て、商談になった数まで数えます。入口を広げる記事づくりは、受け皿ができてからの次の段階です。