Webサイトの問い合わせが来ない原因は、「人が来ていない」「来たが最初の画面で帰る」「読んだが決め手がない」「問い合わせページで止まる」「送ったのに届いていない」の5段のどこか1つにあります。5段すべてを一度に直すのではなく、数字と送信テストで細い段を1つ特定し、そこだけを直します。
「問い合わせが来ない原因」を調べると、アクセスが足りない、最初の画面が弱い、フォームが使いにくい、信頼できる情報が無い、といった原因が5個から7個並びます。どれも実際にある原因です。ただ、並んだ原因を上から順に自社に当てはめても、「全部当てはまる気がする」で終わることが多いです。原因の一覧より先に要るのは、自社ではどの段で人が消えているのかを、数字で突き止める手順です。
この記事では、まず訪問から問い合わせ完了までを5段に分け、次に段ごとに「症状の見分け方」「よくある原因」「直し方」を並べます。そのうえで、訪問者が生成AIに聞いてからサイトに来るようになったことで変わった読み方と、切り分けた後の進め方を扱います。直す施策そのものの一覧は、同じ主題のハブ記事であるホームページの問い合わせを増やす方法|今日直せる10項目にあります。この記事は、その10項目のどれから手を付けるべきかを決めるための、手前の診断を受け持ちます。
原因は5段のどこかにある
訪問から完了までを5段に分ける
問い合わせは、いくつかの関門を順に通った人だけが送ってきます。関門を5つに分けると、次の並びになります。
- 第1段:サイトに来る(検索、名刺、紹介、広告などから訪問する)
- 第2段:最初の画面で読み続けると決める(自分向けのサイトだと判断する)
- 第3段:サービスや実績を読んで、連絡する価値があると決める
- 第4段:問い合わせページに進み、フォームを送信する
- 第5段:送信した内容が会社に届き、返信される
問い合わせが「来ない」と感じるとき、5段のどこかで人が消えています。どの段で消えているかによって、直す場所はまるで違います。第1段が細い会社に、フォームの項目を減らす施策は効きません。第4段が細い会社に、広告で訪問者を増やしても、増えた分がフォームで消えるだけです。
細い段は1つに絞る
5段のうち、複数の段が同時に細いことはあります。それでも直すのは1つずつです。理由は、同時に2つ以上を直すと、問い合わせが動いたときに何が効いたか分からず、次の判断ができなくなるからです。もう1つの理由は、中小企業のWeb担当は兼任が多く、同時に直せる手は1つしかないことです。
順番は、いちばん細い段からです。いちばん細い段が分からないときは、第5段から逆に確かめます。後ろの段ほど確かめる手間が小さく、直した効果が問い合わせ数にすぐ出るからです。
先に確かめる2つの前提
段の切り分けに入る前に、2つだけ先に確かめます。
1つは、フォームが本当に動いているかです。自分で自社のフォームからテスト送信し、会社のメールに届くまでを確かめます。これは第5段の確認そのものですが、ここが壊れていると、他の段の数字を見ても意味がありません。年に一度もテスト送信をしていない会社は珍しくなく、サーバーの更新やメールの設定変更で、気付かないうちに止まっていることがあります。
もう1つは、電話の問い合わせを数えているかです。「ホームページを見て電話した」という問い合わせは、アクセス解析には残りません。受付の人に一言だけ聞いてもらい、月に何件あったかをメモしておきます。フォームが月0件でも、電話が月5件来ているなら、サイトは第3段まで機能しており、直すのは第4段だけです。
第1段:人が来ていない
症状の見分け方
無料のアクセス解析であるGA4(Googleアナリティクス4)で、先月のユーザー数を見ます。月に数十人しか来ていないなら、第1段が細い会社です。訪問者が来ていなければ、後ろの4段をいくら直しても、問い合わせは増えません。
あわせてGoogle Search Consoleで、どんな検索語でサイトが表示されているかを見ます。会社名でしか表示されていないなら、訪問者は会社名を知っている人だけで、検索でサイトを見つけている人はいない状態です。
よくある原因
第1段が細い原因は、たいてい次の3つのどれかです。
- サイトが会社案内の数ページだけで、困りごとの語で検索されるページが無い
- ページはあるが、検索に出る題名と説明文が「サービス一覧」のような一般語で、探している人の語と噛み合っていない
- 制作時の設定が残っていて、検索エンジンにページを読ませない指定が入ったままになっている
3つ目は意外に多く、制作会社がテスト中に入れた「検索に出さない」設定が、公開後も残っているケースです。Search Consoleで表示回数がほぼゼロなら、まずここを疑います。
直し方
設定の問題であれば、制作会社に「検索エンジンに読ませない指定が残っていないか」を確認してもらうだけで直ります。ページはあるのに語が噛み合っていない場合は、Search Consoleで表示されている語を見て、その語を探す人に向けた題名と説明文に書き直します。
困りごとの語で検索されるページがそもそも無い場合は、記事で入口を作る段階です。ただし、これは5段の中でいちばん時間がかかる直しなので、第2段から第5段が通っていることを先に確かめてから着手します。入口を作る手順はオウンドメディアの作り方|立ち上げ7ステップと運用の型にあります。会社名の検索だけでも月に数十人来ているなら、その人を取りこぼしていないかを先に見るほうが、問い合わせは早く増えます。
第2段:最初の画面で帰る
症状の見分け方
GA4のランディングページのレポートで、訪問者が最初に開いたページと、そのページのエンゲージメント率を見ます。エンゲージメント率は、一定時間読んだり別のページに進んだりした訪問の割合です。トップページやサービスページに来た人が、ほとんど別のページに進まずに帰っているなら、第2段が細い会社です。
数字を見なくても分かる方法があります。自社のトップページをスマホで開き、スクロールせずに見える範囲だけを、初めて見る人のつもりで読みます。そこに「誰の、どんな困りごとを、どう解決する会社か」が書いてあるかを確かめます。
よくある原因
第2段で帰る原因は、訪問者が「自分向けではない」と判断することです。判断の材料は最初の画面だけなので、原因もそこに集中します。
- 「お客様の課題に寄り添う」「豊富な実績」のように、どの会社にも当てはまる言葉しか無い
- 検索した語と、開いたページの内容がずれている(「製造業 採用サイト」で来たのに、開いたのは総合サービスの一覧)
- スマホで文字が小さい、画像が崩れている、表示に何秒もかかる
3つ目は、パソコンで作った人には見えません。GA4のデバイスのレポートでスマホの訪問が多いなら、スマホで壊れている限り、文章を直しても届きません。
直し方
最初の画面の文章を、営業担当が最初に聞かれる質問への答えに書き換えます。「製造業の採用サイトを、社内で更新できる形で作る会社です」のように、相手と仕事を具体に書きます。これは編集画面で今日できる直しです。
検索語とページのずれは、Search Consoleでどの語からどのページに来ているかを見て、語に合う内容をそのページの上部に足すか、語に合う別のページへ誘導します。表示速度はPageSpeed Insightsで測り、原因の上位に出る画像の圧縮から直します。
第3段:読んだが決め手がない
症状の見分け方
サービスページや実績ページはそれなりに読まれているのに、問い合わせページの閲覧数が少ないなら、第3段が細い会社です。GA4のページとスクリーンのレポートで、サービスページの閲覧数と問い合わせページの閲覧数を並べれば分かります。
営業担当に「お客さんは問い合わせる前に何を気にしているか」を聞くのも、この段の症状を知る近道です。商談で毎回聞かれるのに、サイトに書いていないことがあれば、それが決め手の欠けです。
よくある原因
第3段で帰る人は、「この会社に頼んで大丈夫か」に答えが見つからなかった人です。答えが見つからない原因は、次の4つに集約されます。
- 費用が「個別にお見積もり」としか書いておらず、いくらかかるかの見当が付かない
- 実績が「導入実績多数」で、何をして何が変わったかが1件も書かれていない
- 他社のサイトと同じ言葉が並び、比べたときに選ぶ理由が無い
- 誰が対応するのか分からず、連絡した後の相手が想像できない
費用を書くと安い競合に流れる、と心配する会社は多いです。実際には、費用を見て離れる人は問い合わせても成約しない人なので、書いたほうが問い合わせの質が上がります。
直し方
費用は、正確な料金表が出せなくても、「多くの案件は30万円から80万円の範囲です」のように幅と起点を書きます。実績は、許可の取れる顧客が1社でもあれば、その1件を「業種、何をしたか、何が変わったか」の順で丁寧に書きます。担当者の顔写真と名前、普段どんな相談を受けているかを、会社概要か問い合わせページに載せます。
どれも新しいページを作る仕事ではなく、既存のページに文章を足す仕事です。営業担当に聞いた「毎回聞かれること」への答えを、聞かれる順にサービスページへ足していけば、第3段はふさがっていきます。
第4段:問い合わせページで止まる
症状の見分け方
問い合わせページの閲覧数と、送信完了ページの閲覧数を並べます。GA4で完了ページの閲覧数を見るか、送信をキーイベントとして記録していればその数を使います。問い合わせページには月に数十人来ているのに、完了が月に1件か2件なら、第4段が細い会社です。
完了ページが無く、送信すると元のフォームに戻るだけの作りなら、この段の数字は取れません。その場合は、完了ページを1枚作るところが最初の直しになります。
よくある原因
問い合わせページまで来た人は、連絡しようと決めた人です。その人が送らずに帰る原因は、決意ではなく手間と不安にあります。
- 入力欄が10個近くあり、必須の印が多い
- 送った後に何が起きるか書いておらず、営業電話が来るのではないかと不安になる
- スマホで入力欄がずれる、エラーの理由が分からない、確認画面で戻ると入力が消える
- 電話のほうが早い人向けに、電話番号と受付時間が並んでいない
自社のフォームをスマホから実際に送信までやってみると、このうちどれが起きているかはすぐ分かります。作った本人はパソコンで確認していることが多く、スマホの不具合は放置されがちです。
直し方
入力欄を氏名、メール、本文の3つまで減らし、電話番号は任意にします。フォームの上に「担当者から2営業日以内にメールで返信します。営業の電話はしません」と1行書きます。電話番号と受付時間を問い合わせページの上部に並べ、スマホでは番号を押せば発信できるようにします。
これらは、先に触れたハブ記事の出口4項目と同じものです。第4段が細いと分かった会社は、10項目のうちこの4項目だけを直せば足ります。
第5段:送ったのに届いていない
症状の見分け方
この段は数字では見えません。自社のフォームから実際にテスト送信し、次の3つを確かめます。
- 会社側の受信メールに届くか(迷惑メールフォルダも見る)
- 送信した本人に自動返信が届くか
- 届いたメールが、実際に返信を担当する人に転送されているか
「問い合わせが来ない」と相談を受けて調べると、実は届いていたが迷惑メールに振り分けられていた、退職した担当者のアドレスに届き続けていた、という例が珍しくありません。この場合、5段のうち第4段までは機能しており、直すのは受信の設定だけです。
よくある原因と直し方
原因は、サーバーやメールサービスの変更で送信元の設定が変わったこと、通知先のアドレスが古いままなこと、迷惑メールの判定に引っかかっていることのどれかです。制作会社かサーバーの管理者に「フォームの通知先と送信元の設定を確認してほしい」と伝えれば、たいてい1日で直ります。
届いていても、返信が遅ければ同じことです。問い合わせた人は、数社に同時に連絡していることが多く、最初に返事が来た会社と話が進みます。届いたメールを誰が、いつまでに返すかを決め、受信を複数人に通知しておきます。問い合わせは「送信された数」ではなく「返信して商談になった数」で見るのが、この段の考え方です。
AIに聞いてから来る人で変わった読み方
第1段の数字の意味が変わった
訪問者の来かたが、ここ数年で変わりました。以前は検索結果から複数のサイトを開いて比べていましたが、いまは先にChatGPTやGoogleのAIに「製造業の採用サイトを作れる会社は」と聞き、返ってきた候補の会社名で検索して来る人が増えています。
この変化は、第1段の読み方を変えます。Search Consoleで会社名の検索が増えているなら、それは「困りごとの語で見つけてもらえていない」だけでなく、「AIに候補として挙げられた後に確かめに来ている」可能性があります。会社名で来た人は候補の比較をほぼ終えているので、第2段から第4段の取りこぼしが、以前よりずっと大きく効きます。会社名の訪問が増えているのに問い合わせが増えない会社は、第1段ではなく第3段と第4段を疑います。AIに候補として挙げてもらう側の対策は、この媒体の領分ではなくAI検索で問い合わせを増やすには?AIに選ばれる会社になるための実践策にあります。
AIに数字の切り分けを手伝わせる
5段の切り分けは、GA4とSearch Consoleの数字を並べる作業です。数字の読み方に自信が無い場合、生成AIに手伝わせることができます。先月のユーザー数、ランディングページ別のエンゲージメント率、サービスページと問い合わせページの閲覧数、完了ページの閲覧数、電話の件数を貼り付け、「この5段のどこがいちばん細いか、理由とともに答えてください」と頼みます。
AIの答えをそのまま信じる必要はありませんが、「第4段が細い。問い合わせページ閲覧に対して完了が少ない」のような答えは、数字の見落としを防ぎます。自社の数字を貼ることに抵抗があれば、桁だけ合わせた仮の数字で聞いても、読み方は学べます。
文章を書かせず、欠けを見つけさせる
第2段と第3段の直しは、文章の書き換えです。ここでも生成AIは使えますが、使い方は「書かせる」ではなく「欠けを見つけさせる」です。トップページとサービスページの文章を貼り、「初めてこの会社に問い合わせを検討する人が、送信前に確かめたくなる質問を10個挙げてください」と頼みます。出てきた質問のうち、ページに答えが無いものが、第3段の欠けです。
答えの文章は、営業担当の言葉で書きます。生成AIが書いた文章は、どの会社にも当てはまる言葉になりやすく、第2段の「自分向けではない」という判断を招きます。判断の材料を出させ、文章は自分で書く、という分担です。
切り分けた後の進め方
1段だけ直して1か月見る
細い段が分かったら、その段だけを直し、翌月の数字を見ます。第4段を直したなら、問い合わせページの閲覧数に対する完了の割合が動いたかを見ます。第2段を直したなら、ランディングページのエンゲージメント率を見ます。訪問数が少ない会社では、問い合わせが1件増えるだけで数字が大きく動くので、2週間で判断せず、月単位で前の月と比べます。
直した段の数字が動いたら、次に細い段へ移ります。5段を順に太くしていくのが、問い合わせを増やす道筋です。数字を段階ごとに切り替えて追う考え方はオウンドメディアのKPI|立ち上げ期に追う数字と段階別の切り替えにもまとめてあります。
直しても動かないときに疑うこと
1つの段を直して1か月見ても数字が動かないときは、3つを疑います。
- 細い段の見立てが違っていた(別の段の数字をもう一度並べる)
- 直し方が足りなかった(フォームの項目を減らしたが、スマホの不具合が残っている)
- 訪問数が少なすぎて、数字が動いても見えない(第1段に戻る)
3つ目の場合だけ、入口を広げる段階に入ります。それ以外は、同じ段をもう一度見直します。段を飛ばして別の施策に移るほうが気は楽ですが、原因が残ったままでは、次の施策も同じ段で消えます。
入口を広げるのは受け皿ができてから
第2段から第5段が通っていると確かめられて、はじめて第1段を広げる段階に入ります。会社名以外の語で見つけてもらうには、困りごとに答える記事を継続して出すのが、広告費をかけない方法として現実的です。少人数で回す型は中小企業のオウンドメディア立ち上げ|少人数・小予算で回す型と手順にあります。
順番を逆にして、記事や広告で訪問者を増やす施策から始める会社が多いのですが、後ろの段が細いままでは、増えた訪問者もそのまま消えます。まず5段を切り分けて受け皿を作り、その後に入口を広げます。
まとめ
Webサイトの問い合わせが来ない原因は、5段のどこか1つにあります。
- 第1段:人が来ていない。GA4のユーザー数とSearch Consoleの表示語で見分け、検索設定と題名を直す
- 第2段:最初の画面で帰る。エンゲージメント率で見分け、「誰の何を」を1文で書く
- 第3段:決め手がない。問い合わせページの閲覧数で見分け、費用の幅と実績の具体を足す
- 第4段:フォームで止まる。完了数で見分け、項目を減らして送信後の流れを書く
- 第5段:届いていない。テスト送信で見分け、通知先と返信の担当を決める
切り分けは第5段から逆に確かめると速く、直すのは細い段1つだけです。生成AIに聞いてから会社名で来る訪問者が増えたことで、第1段より第3段と第4段の取りこぼしが大きく効くようになりました。1段を直したら翌月の数字を見て、次に細い段へ移ります。入口を広げるのは、受け皿の4段が通ってからです。