ChatGPTは、自社サイトを見て答えているのか ウェブを調べた回答は14.4%
- 無料版のChatGPTは、たいていの質問で自社サイトを見に来ていません。6,660万件の回答のうち、ウェブを調べてから答えたのは14.4%で、残りは学習済みの中身だけで答えています。
- 調べるときは、まず会社の公式サイトを名指しで見に行きます。1つのサイトを指定した検索の75.9%は公式サイトに向かい、価格や会社の情報を尋ねる質問では84.4%の回答が公式サイトを引用しましたが、比べる質問では68.3%に下がります。
- 料金やサービスの範囲を自社サイトの本文に文章で書き、ChatGPTに事実の質問を投げて引用元を記録することが、自分の手でできる最初の一歩です。
答え:たいていは見ていない。見に来るときは、公式サイトの事実を取りに来る
無料版のChatGPTがウェブを調べてから答えたのは、6,660万件の回答のうち14.4%でした。残りは学習済みの中身だけで答えているため、自社が名前を出してもらえるかは、AIが自社をすでに知っているかと、調べたときに自社サイトが答えを持っているかの2つで決まります。
AI検索の対策というと、AIが毎回ウェブを調べて答えを組み立てている姿を思い浮かべがちですが、実際の無料版はそうなっていません。2026年8月と9月に、ログインしない状態の無料版で集めた回答のうち、ウェブを調べたものは7回に1回ほどで、調べた場合も1回の回答で投げた検索は平均で約1.6本でした。
ウェブを1回調べるたびにOpenAIには費用がかかるので、学習済みの知識で十分に答えられる質問では、検索を省いていると考えられます。週ごとの利用者の9割超が無料版を使っているため、多くの人が目にしているのは、この調べない答え方のほうです。
調べるときは、まず会社の公式サイトを名指しで見に行く
ChatGPTが投げた検索のうち6.8%は、1つのサイトだけを指定して調べる「site:」付きの検索でした。よく指定された約160サイトのうち、4分の3にあたる75.9%は会社の公式サイトで、口コミや掲示板のサイトはごく一部です。
指定された先は約11万6千のドメインに散らばっていて、大手だけが見られているわけではありません。小売のサイトが11.9%だったのに対し、RedditとFacebookは2つ合わせても1.9%にとどまりました。
検索の言葉にも同じ傾向が出ていて、英語の検索に「official」が入る割合は8月の10.1%から9月には13.1%に増えています。価格を表す「price」も6.04%から8.88%に増え、定義を尋ねる言葉は減りました。つまりChatGPTは、価格や仕様のように持ち主がはっきりしている事実を、持ち主のサイトへ取りに行く動きを強めています。
商品の価格や会社の情報を知りたいとき、いちばん確かなのはその会社自身のページです。人が調べるときと同じ順番で、AIもまず公式サイトを開きにいきます。
比べる質問になると、よそのサイトの声が増える
価格や会社の情報のような事実の質問では、公式サイトを1つ以上引用した回答が84.4%でしたが、「AとBはどちらが安いか」のような比べる質問では68.3%に下がります。答えが1つに決まらない質問ほど、AIは第三者のサイトを頼ります。
| 質問の種類 | 分母 | 公式サイトを1つ以上引用した回答 | 引用全体に占める公式サイトの割合 |
|---|---|---|---|
| 事実の質問(価格・機能・会社の情報) | 米国の質問20,000件 | 84.4% | 63.4% |
| 比べる質問(AとB、どちらが安いか) | 68.3% | 46.4% |
比べる質問では引用の半分以上が公式サイト以外に向かうため、自社サイトの説明だけでは比較の答えに入りきれません。ランニングシューズを例にとると、1,474件の回答で投げられた検索に「best」が206回、「review」が117回、「vs」が105回出たのに対し、「official」は65回だけでした。
一方で、どのよそのサイトが選ばれるかは大きく入れ替わっています。3月にはChatGPTの回答の約5件に1件がRedditを引用していましたが、9月下旬には約43件に1件まで減り、Wikipediaも約7件に1件から約35件に1件になりました。
代わりに引用を増やしたのは、研究機関、行政、メーカー、実際に製品を試して測るサイトです。医学論文の検索サイトであるPubMedが64位から4位に上がった一方で、その研究をかみ砕いて紹介する健康情報サイトは順位を下げています。ほかの人の情報をまとめ直しただけのページは、元の情報を出した側に引用を奪われやすくなっています。
調べない7回のうち6回は、学習した中身で答えが決まる
ウェブを調べない回答では、自社の情報が学習の材料に入っているかどうかが効きます。ところが、学習用にウェブを集める仕組みは、ページの質よりもリンクのつながりで集める先を決めていて、質の高いページでも集めきれていません。
大規模言語モデルの学習の材料は、ウェブを機械で巡回して集めたページが大きな供給源になっていて、集めたページの多くは選別の段階で捨てられます。分析の対象になったCommon Crawlは、サイト同士のリンクのつながりを数値にした指標で、どのサイトをどれだけ巡回するかを決めています。
その巡回の量を質の評価と比べると、ほとんど相関がありませんでした。見つかっているのに巡回されていない質の高いページは、1回の巡回ごとに数千万件残っていると見積もられ、その大半は一部のサイトに集中しています。
ページの質のばらつきのおよそ半分はサイトの違いで説明でき、あるサイトの数ページを見れば、残りのページの質もおおよそ見当がつきます。数ページで見当をつけてから深く巡回する先を選ぶと、同じ手間で質の高いページを数倍集められることも、模擬実験で確かめられました。
いまの巡回がこの方式に変わったわけではありませんが、学習の材料を集める側がサイト単位で質を見積もる方向に進めば、中身の薄いページが多いサイトは、良いページまで集められにくくなります。ここはAIMAの読みで、ChatGPTの学習の材料がどう集められているかを直接示す資料はありません。
Webマーケ担当者が、いまやること
価格・サービス内容・会社の情報を、自社サイトに文章で書いておくことが、調べるときのAIへの答えになります。比べる質問への備えは、第三者のサイトに取り上げてもらうことと、自社にしか出せない情報を出すことです。
どちらもサイトの管理画面と社内の情報で進められるため、エンジニアに頼まなくても始められます。
- 料金、対応地域、サービスの範囲、会社の所在地を、画像やPDFだけでなく、ページの本文の文章として書いてあるかを確かめる
- ChatGPTで「自社名 料金」「自社名 会社概要」のような事実の質問を数問たずね、答えと引用元を日付つきで記録する
- 引用元に自社サイトが出ず、古い情報や他社のまとめ記事が出ている場合は、その質問の答えになるページが自社サイトにあるかを見直す
- 「自社と競合のどちらがよいか」のような比べる質問も試し、引用されている第三者のサイトを書き出して、取材や掲載を頼める先を探す
- 他社の情報をまとめ直しただけの記事より、自社の事例や数字、実際に試した結果のように自社にしか書けない記事を優先する
- 中身の薄いページが多ければ、統合するか書き足す候補として一覧にし、月に1回は同じ質問で答えの変化を確かめる
AIが自社を知っているかどうかはすぐには変えられませんが、調べに来たAIに答えを渡せるかどうかは、自社サイトの書き方で今日から変えられます。まずは事実の質問をいくつか投げて、AIが自社サイトを開いているかを自分の目で確かめるところから始めます。
観測手法
公開された資料2件だけを使いました。1件目は、Ahrefsが2026年10月12日に公開した「How ChatGPT Does Query Fan-Out (15 Million Queries Studied)」です。ログインしない無料版のGPT-5.6 Lunaの回答6,660万件と、そこで投げられた検索1,500万件を、2026年8月と9月に集めた実測です。事実の質問と比べる質問の違いは、同じ記事の中にある米国の質問20,000件の別の試験の数字で、引用先の変化は米国の回答を月に240万〜380万件集めた別のデータの数字です。
2件目は、arXivに2026年10月9日に投稿された論文「Host-Aware Web Crawling for LLM Pretraining Data」で、EMNLP 2026のワークショップに採択されたものです。Common Crawlの巡回の量と、ページの質の評価、リンクのつながりの指標を突き合わせています。本文のPDFは取得しておらず、要旨に書かれた内容と数字だけを使っています。
AIMAによる独自の計測は行っていません。本文中の数値は、取得時に保存した原文から確認したものです。
この記事で言えないこと
検索をしない回答の割合は、ログインしない無料版の1つのモデルを2か月見た結果で、有料版や推論の強いモデルは、もっと多く検索します。APIから約4,000の質問を投げた別の調査では、1回の質問で平均7.61本の検索を投げ、64%にsite:が付いていたため、質問の選び方で数字は大きく変わります。数字はいずれも英語圏が中心で、日本語の質問で同じ割合になるかは確かめられていません。学習の材料を集める仕組みの数字はCommon Crawlを対象にした分析で、OpenAIがどのように学習の材料を集めているかは、どの資料にも書かれていません。サイト単位で質を見積もる方式は模擬実験の提案であり、実際の巡回に使われているわけではなく、中身の薄いページが良いページの集められ方に響くという部分はAIMAの読みです。ここから言えるのは、無料版のChatGPTは多くの質問をウェブを調べずに答えること、調べるときは事実を公式サイトへ取りに行くこと、比べる質問では第三者のサイトの比重が上がること、学習用の巡回は質と相関の薄い基準で集める先を決めていること、この4点までです。
突き合わせた資料
- ChatGPTがいつ調べ、どこを見に行き、何を引用するかの実測How ChatGPT Does Query Fan-Out(無料版の回答6,660万件と検索1,500万件の分析)
Ahrefs/取得 2026-10-12 - 調べない答えのもとになる、学習用にウェブを集める仕組みの分析Host-Aware Web Crawling for LLM Pretraining Data(Common Crawlの巡回の量と質の比較)
arXiv cs.CL/取得 2026-10-12