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AIに選ばれる情報は、どう作られるのか。

検証レポート

自社名で検索されても、AIの要約が先に出るのか 米国では社名を含む検索の83%に表示

  • 社名で検索されたときにも、AIによる要約が出るようになりました。米国のデスクトップ検索では、2026年9月29日の時点で社名を含む検索の82.91%に要約が表示され、社名だけの検索では表示された63件のうち48件が検索結果の1番目に置かれていました。
  • 要約が引用するのは自社サイトよりWikipediaやYouTube、LinkedInで、別の測定では要約の主張の11.0%が引用元で裏付けられていません。社名で検索した人が最初に読む説明を、自社で直せない情報源とAIが書く形になっています。
  • 要約が出ると、表示回数は減らずにクリック率だけが下がります。フランスでは要約が多く出るサイトのクリック率が9日で23.1%下がっており、自社名で実際に検索して中身を読み、Search Consoleで社名検索のクリック率を追う必要があります。
自社名で検索されても、AIの要約が先に出るのか 米国では社名を含む検索の83%に表示

答え:出る。しかも自社サイトより上に出ることが多い

米国のデスクトップ検索では、2026年9月29日の時点で社名を含む検索の82.91%にAIによる概要が出ていました。社名だけの検索100件では、出た63件のうち48件が検索結果の1番目に置かれています。

社名で検索する人はすでにその会社を知っていて、公式サイトへ行くつもりで検索します。そのため指名検索は、AIの要約に流入を取られにくい安全な場所だと考えられてきました。

ところが、社名検索での表示率の実測、AIの要約が引用元と合っているかの検証、要約が出たあとにクリックがどれだけ減るかの実測の3つを並べると、この前提は崩れます。公式サイトより先に、自社では書いていない説明を読まれる場面が増えているからです。

社名検索での表示は、この3か月で急に増えた

社名を含む検索でAIの要約が出た割合は、月平均で7月の61.3%から9月の73.3%へ12ポイント上がりました。社名を含まない検索との差も12.2ポイントから5ポイントに縮み、社名検索だけが例外という状態ではなくなっています。

AIの要約が出た検索の割合(米国・デスクトップ・2026年7〜9月の月平均)
月分母社名を含む検索社名を含まない検索
2026年7月検索結果2億3,280万回分(社名を含む9,250万回・含まない1億4,020万回)61.3%73.5%
2026年8月65.1%74.7%
2026年9月73.3%78.3%

社名だけの検索100件を14回にわたって確かめた別の集計では、7月1日の時点で要約が出たのは使える結果98件のうち5件でしたが、9月30日には100件中63件に増えました。増え方は9月の初めに集中しており、少しずつではなく一気に切り替わったことが分かります。

置かれる場所も見逃せません。63件のうち48件、76.2%が検索結果の1番目に表示され、平均の位置は1.49でした。社名で検索した人が最初に読むのは、公式サイトではなく、AIの要約に変わりつつあるのです。

13.7%という別の数字は、測った時期と検索語の違いから来る

別の大規模な測定では、AIの要約が出た割合は全体で13.7%でした。ただし2026年3〜4月に話題の検索語を集めた結果で、質問の形の検索に限ると64.7%まで上がるため、表示率は何をいつ測ったかで大きく変わります。

この測定は、19分野の話題の検索語55,393件を40日間にわたって投げたものです。政治的に微妙な話題では表示率がはっきり低く、Googleが分野によって要約を出すかどうかを変えていることもうかがえます。

83%と13.7%は食い違って見えますが、時期も検索語の集合も違います。社名だけの検索でも7月初めには98件中5件しか出ていなかったので、春の13.7%と9月末の83%の間に大きな切り替わりがあったと見るほうが筋が通ります。ただしこれは2つの資料を並べたAIMAの読みで、同じ検索語を春と秋で比べた資料はありません。

つまり、他社の調査の数字を自社の業界に当てはめても、自社名で要約が出るかどうかは分かりません。確かめる手段は、自分で自社名を検索してみることです。

要約が引くのは自社サイトより、Wikipediaや動画

社名だけの検索で出たAIの要約が自社以外のサイトを引用した先は、Wikipediaが71.9%、YouTubeが38.6%、LinkedInが22.8%でした。競合のサイトが引かれた例は57件中1件だけで、気をつけるべきは競合よりも、自社で直せない情報源が説明役になることです。

社名だけの検索で、AIの要約が引用した自社以外のサイト(世界的ブランド100社の米国での検索・2026年7〜9月)
引用されたサイト引用した要約の数分母割合
Wikipedia41引用元の一覧が見えた要約57件71.9%
YouTube2238.6%
LinkedIn1322.8%
Yahoo Finance915.8%
Facebook610.5%
Walmart47.0%

競合についての心配は小さく、回答の全文が見えた58件のうち競合に触れたのは2件、3.4%でした。ペプシの説明にコカ・コーラが出るような、業界の歴史を語る場面に限られています。

気をつけたいのは、引用されるYouTubeの動画が公式アカウントのものとは限らない点です。古い製品情報を含む動画が引かれれば、社名で検索した人が最初に読む説明に、その古い情報がそのまま載ります。

要約の1割強は、引用元に書いていないことを含む

AIの要約を98,020の主張に分けて引用元と照らすと、11.0%は引用されたページで裏付けられていませんでした。失敗の型で最も多いのは書き落としで、引用元の信頼性が高くても要約が正確になるとは限りません。

要約が引用したサイトは、同じ画面の1ページ目に並ぶサイトより信頼できるものが多い一方で、30%近くは1ページ目に一度も出てこないサイトでした。検索順位とは別の仕組みで引用元が選ばれているため、自社サイトが社名検索で1位でも、要約に引用されるとは限りません。

さらに、引用元の質と要約の正確さはほとんど連動していません。Wikipediaのような信頼される情報源が引かれていても、要約の文が自社の実態を正しく伝えているかは、文ごとに確かめるしかないということです。

要約が出ると、表示は減らずにクリックだけが減る

フランスでAIの要約が始まった前後を比べると、検索語の20%超に要約が出るサイトのクリック率は9日で23.1%下がりました。表示回数はほとんど減っていないため、順位や表示回数を見ているだけでは気づけません。

フランスでは2026年7月22日にAIの要約が始まったので、開始前の28日と開始後の9日を、963のドメインのSearch Consoleのデータで比べることができました。要約がほとんど出ない2%未満のドメインはクリック率が2.3%上がっていたため、その分を差し引くと要約の影響は24.8%の減少になります。

AIの要約の開始前後でのクリック率の変化(フランス・開始前28日と開始後9日の比較)
区分分母クリック率の変化
全ドメイン963ドメイン−3.4%
全ドメインの中央値963ドメイン−5.7%(クリック数は−8.8%)
検索語の20%超に要約が出る要約が多く出るドメイン−23.1%(82.2%のドメインで低下)
検索語の2%未満にしか要約が出ない比較用のドメイン+2.3%

要約が出る割合とクリック率の変化の関係は、傾き−0.9のほぼ直線でした。要約が出る割合が1ポイント上がるごとに、クリック率がおよそ1ポイント下がる計算です。極端な例では表示回数が183%増えたのにクリックは1.9%減り、クリック率は3分の1以下になっています。

この調査はすべての検索語が対象で、社名検索に限った数字ではありません。それでも、社名検索で要約が1番目に置かれれば公式サイトのクリック率も同じ形で下がると考えるのが自然で、これはAIMAの推測として書いておきます。

持ちこたえる検索の型もはっきりしていて、答えが一段落で済む検索ほど失い、道具やアカウント、価格、購入、人の意見が要る検索は崩れにくい傾向でした。社名検索のうち「ログイン」や「料金」のように次の行動が決まっているものは、公式サイトに来る理由が残ります。

Webマーケ担当者が、いまやること

月に1回、自社名と「自社名+料金」「自社名+評判」などをGoogleで検索し、AIによる概要が出るか、何を引用し、何を書いているかを記録します。あわせてSearch Consoleで、社名を含む検索のクリック率を月ごとに追います。

道具は、Googleの検索画面とSearch Console、スプレッドシートだけで足ります。

  • 自社名だけの検索と、「自社名 料金」「自社名 評判」のような社名を含む検索を5〜10個決め、文言を固定して表の1列目に置く
  • 月に1回、ログインしていないブラウザの画面で検索し、AIによる概要が出たか、検索結果の何番目か、引用元のサイト名を日付つきで記録する
  • 概要が出たら、文を1つずつ引用元のページと見比べ、引用元に書いていないことや、料金や対応範囲の但し書きが抜けていないかを確かめる
  • 引用元が自社以外なら、そのページの情報が古くないかを見る。LinkedInの会社ページやYouTubeの公式チャンネルなど、自社で更新できるものから最新にする
  • 自社で直せない情報源が引かれている場合は、同じ内容の正しい説明を自社サイトの会社概要やサービスのページにはっきり書いておく
  • Search Consoleの検索パフォーマンスでクエリを自社名で絞り、表示回数とクリック率を月ごとに並べる。表示回数が変わらずクリック率だけが下がっていれば、要約を読んで帰られている兆しになる
  • ログイン、料金、資料請求の入口が、公式サイトの最初の画面ですぐ見つかるかを確かめる

社名検索は、自社の説明を自社がいちばん左右できる場所でした。その最初の数行をAIが書くようになった以上、まずは何が書かれているかを自分の目で読むところから始めます。

観測手法

公開された資料3件だけを使いました。1件目は、Ahrefsが2026年10月2日に公開した「AI Overviews Currently Appear for 83% of Branded Searches」です。2026年7月から9月までの米国・デスクトップのGoogle検索結果2億3,280万回分を、社名を含む検索9,250万回と含まない検索1億4,020万回に分けて集計しています。あわせて、Interbrandの2025年版の世界的ブランドから選んだ100社の社名だけの検索を、7月から9月に14回確かめた別の集計を含みます。

2件目は、Haofei Xuらが2026年5月13日に公開し、10月1日に改訂した論文「Measuring Google AI Overviews: Activation, Source Quality, Claim Fidelity, and Publisher Impact」です。2026年3月13日から4月21日までの40日間に、19分野の話題の検索語55,393件を投げた測定で、2026年のACM Internet Measurement Conferenceに採択されています。取得したのは要旨のページで、本文の細部は確認していません。

3件目は、Ahrefsが2026年9月16日に公開した「AI Overviews Cut CTR by 23.1% in France」です。フランスでクリックの多い上位1,000ドメインのうち期間を通じてデータのある963ドメインについて、Search Consoleの集計値で、2026年7月22日の開始前28日と開始後9日の1日平均を比べています。

AIMAによる独自の計測は行っていません。本文中の数値は、取得時に保存した原文から機械的に抽出したものです。

この記事で言えないこと

社名検索の数字は、米国のデスクトップ検索に限られ、検索結果を収集するツールを売るAhrefs自身の集計です。日本語の検索やスマートフォンで同じ割合になるかは確かめられていません。引用元の内訳は世界的ブランド100社、要約57件という小さな標本の数字で、中小企業の社名で同じ顔ぶれになるとは限りません。13.7%という表示率は話題の検索語での春の数字で、83%との差を時期の切り替わりで説明する部分はAIMAの読みであり、同じ検索語で比べた資料はありません。主張の11.0%が裏付けられていないという数字も、社名検索に限ったものではありません。クリック率の低下はフランスで開始後9日という短い期間の測定で、社名検索だけを切り出していないため、社名検索で公式サイトのクリック率が同じように下がるかは推測です。ここから言えるのは、社名検索にもAIの要約が出るようになり、その中身は自社以外の情報源に左右され、一定の割合で引用元にない内容を含むこと、この3点までです。

突き合わせた資料

  1. 社名検索でのAIの要約の表示率と引用元の実測AI Overviews Currently Appear for 83% of Branded Searches(米国・検索結果2億3,280万回分・ブランド100社)
    Ahrefs/取得 2026-10-02
  2. AIの要約の表示率と、引用元との食い違いの検証Measuring Google AI Overviews(話題の検索語55,393件・主張98,020件の照合)
    arXiv cs.CY/取得 2026-10-05
  3. AIの要約が始まった前後のクリック率の実測AI Overviews Cut CTR by 23.1% in France(963ドメイン・開始前28日と開始後9日)
    Ahrefs/取得 2026-09-16

出典

  1. AI Overviews Currently Appear for 83% of Branded Searches|Ahrefs(Ryan Law、2026年10月2日)
  2. Measuring Google AI Overviews: Activation, Source Quality, Claim Fidelity, and Publisher Impact|arXiv(Haofei Xu、Umar Iqbal、Jacob M. Montgomery、2026年10月1日改訂)
  3. AI Overviews Cut CTR by 23.1% in France|Ahrefs(Juliette Begue、2026年9月16日)
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