比較記事で自社を1位にするのは、効くのか 1位にした効果は4%、統計上は差がない
- 売り手が自社を1位に置いた比較記事は、1年で90.4%が検索からの流入を伸ばし、比較記事全体の67.3%を上回りました。ところが元の流入や業界をそろえると、1位に置いたこと自体の上乗せは4%で、統計上は差がないのと区別できません。
- AIの回答では、自社1位の比較記事が逆に働くことがあります。AIはその記事を材料に使いながら、記事の中に並んだ競合のほうを推薦することがあり、第三者の比較記事を1つの回答で6回引用して売り手のサイトを1つも引用しなかった例もあります。
- 検索とAIの両方で効いていたのは、日付の新しさでした。古いか読み取れない日付の比較記事は上位3位に入る見込みが56%低く、AIが引用する内容もGoogleの通常の検索結果より25.7%新しいものでした。
答え:1位に置いても伸びない。AIの回答では、競合の名前を運ぶこともある
自社を1位に置いた比較記事は検索からの流入を伸ばしていますが、条件をそろえると1位に置いたこと自体の上乗せは4%で、統計上は差がありません。AIの回答では、その記事が引用されたうえで、中に並べた競合のほうが推薦されることもあります。
「中小企業向け会計ソフトおすすめ10選」のような比較記事を自社サイトに置き、自社の商品を1位に据えるやり方は、B2Bの業界ではすでに定番になりました。米国のGoogle検索で調べると、B2Bソフトの検索結果の46.2%に、売り手自身が作った比較記事が出ています。
狙いはGoogleの順位だけではなく、AIに「おすすめは」と聞かれたときに自社の名前を出してもらう材料としても作られています。そのため、検索結果での成績とAIの回答での扱われ方は、分けて確かめないと判断を誤ります。
2026年の夏には、比較記事の順位と流入を数えた実測、自社1位の比較記事をAIがどう使ったかの実験、AIが実際に引用した比較記事の事例がそろいました。3つを並べると、1位を名乗ることの損得が検索とAIの両側から見えてきます。
自社1位の記事は伸びている。ただし1位にしたせいではない
売り手が自社を1位にした比較記事は、1年で90.4%が流入を伸ばし、比較記事全体の67.3%を上回りました。ところが元の流入や業界、いまの順位をそろえて比べると、自社を1位にしたことによる上乗せは4%まで縮みます。
売り手が自社の商品と本物の競合を並べたB2Bの比較記事では、74.7%が自社を先頭に置いていました。開始時点ですでに流入があったページに限ると、伸びの中央値は186%で、ほかの比較記事の20%を大きく引き離しています。
| 指標 | 母数 | 自社1位の記事 | 比べた相手 |
|---|---|---|---|
| 流入が増えたページの割合 | 2025年8月と2026年8月の比較 | 90.4% | 67.3%(比較記事全体) |
| 伸びの中央値 | 開始時点で流入があったページ | 186% | 20%(ほかの比較記事) |
| 2026年8月の推定流入の中央値 | 人手で確認した83ページと、対照の600ページ | 1,977 | 568(対照の600ページ) |
| 条件をそろえた後の上乗せ | 元の流入・業界・記事の型・順位・同じ運営元の重複をそろえた比較 | 4%(幅はマイナス51%からプラス120%) | 基準 |
この差の大半は、自社を1位にしたことでは説明がつきません。伸びていたのは昨年の終わりごろに公開された新しい記事で、条件をそろえた後の上乗せは幅がマイナス51%からプラス120%まで広く、p値も0.91と、差がないのと区別できない結果でした。
分析したKevin Indigは、AI検索で比較記事が果たす役割に気づいた会社がそこへ手間をかけ始めたことが、伸びの正体だと見ています。つまり伸びたのは力を入れて作り直した記事であって、1位の座そのものが流入を運んだわけではありません。
AIは比較記事を読むが、推薦するのは中の別の会社かもしれない
AIは商品をすすめるとき比較記事を好んで引用しますが、自社を1位にした記事を材料にしながら、記事の中に並んだ競合のほうを推薦することがあります。AIが重く見ているのは、比較した側が売り手と利害を持たないことです。
ChatGPTに「米国の中小企業に最適な会計ソフトは」と聞くと、Fit Small Businessという第三者の比較記事を1つの回答で6回引用し、名前を挙げた会社自身のサイトは1つも引用しませんでした。AIは商品の評判を、売り手のページではなく、複数の商品を並べて評価したページから組み立てているためです。
売り手が作った比較記事も、見た目は同じ「並べて評価したページ」です。ところがAhrefsが自社1位の比較記事で試すと、AIはその記事を回答の材料に使いながら、推薦先には自社ではなく記事の中で名前を挙げた他社を選ぶことがありました。GoogleのAI Overviewsでも、ある会社の比較記事を引用元にしたうえで、その中の競合をすすめる例が報告されています。
self-promotional listicles sometimes became free marketing for the very brands they were trying to beat(自社を持ち上げる比較記事は、打ち負かしたかったはずの相手の無料の宣伝になることがあった)
AI Search Strategy: 4 Pillars to Show Up More (and Right) in AI Answers|Ahrefs
第三者の比較記事が引用されやすいのは、売り手と利害がないぶん推薦の信用が高いからです。売り手自身が1位を名乗る記事ではその信用が付かないので、並べた競合の情報だけが拾われ、1位という主張のほうは回答に残りにくくなります。
AIの側で比較記事の出番が広がっていることも、見落とせません。調べた6万件の検索では平均83.7%にAI Overviewsが表示され、B2Bでは93.4%に達しているため、検索結果で比較記事が上位にあっても、利用者が先に目にするのはAIがまとめた推薦です。
1位を名乗るなら、理由は自社の外から持ってくる
自社1位の比較記事を残すなら、1位の理由を口コミサイトの評価のような第三者の数字で示し、競合が強い点も書きます。AIが引用の手がかりにしている外部の評判は、自社の記事の中でも根拠として働くためです。
Kevin Indigが顧客にすすめているのは、G2のような口コミサイトの評価を1位の根拠として載せることで、裏づけがないなら比較記事という形そのものを見送る判断もありうるとしています。Ahrefsも、比較する商品との関係を明かし、どんな会社にどの商品が向くかを書き、競合が勝る点を認めるほうが、読む人にもAIにも信用されるという立場です。
外部の評判がAIの引用と結びつく様子は、数字にも出ています。G2で口コミが10%多いソフトの分野ではAIの引用がおよそ2%多く、Trustpilotの口コミページを自社で管理し始めた例では、AIに引用される割合が1%から54%に上がりました。
Ahrefsの場合、AIの回答に自社名が出た場面の最大89%は、ほかのサイトが自社を取り上げていたことによるものでした。自社の比較記事で1位を名乗るより、外で積み上がった評価をその記事に引いてくるほうが、AIの判断材料と向きがそろいます。
検索でもAIでも効いていたのは、日付の新しさ
比較記事の順位と最もはっきり結びついていたのは日付の新しさで、古いか読み取れない日付のページは、上位3位に入る見込みが56%低くなりました。AIが引用する内容も、Googleの通常の検索結果より25.7%新しいものでした。
3,000本の比較記事で15以上の要素を比べたところ、条件をそろえた後も残った手がかりはごく一部でした。上位3位のページでは過去2年以内の日付が66.6%に付いていたのに対し、8〜10位では57.3%にとどまっています。
| 要素 | 母数 | 上位3位 | 8〜10位 | 条件をそろえた後 |
|---|---|---|---|---|
| 過去2年以内の日付があるページ | 各順位帯のページ | 66.6% | 57.3% | 差が残った |
| 古いか読み取れない日付のページ | 各順位帯のページ | 8.2% | 15.1% | 上位3位に入る見込みが56%低い |
| 文字数の中央値 | 各順位帯のページ | 21.5%多い | 基準 | 一貫した差なし |
| 画像の数の中央値 | 各順位帯のページ | 38.9%多い | 基準 | 一貫した差なし |
| 見出しの数 | 各順位帯のページ | — | — | 標準的なばらつき1つ分多いと、見込みが29%低い |
効きそうで効かなかったものもあり、著者の紹介や構造化データ、文字数には一貫した差が出ませんでした。見出しの数はむしろ多いほど上位に入りにくく、商品を1つずつ見出しで区切る作りは、深さを示すつもりが逆に働いています。
題名に件数を書いた比較記事は、書かない比較記事と同じ検索結果に並んだ6,114件のうち56.8%で上に立ちました。ただし題名の数字は中身の件数そのものではないので、50個を並べる場合でも、50個の見出しを立てる必要はありません。
3件の資料で検索とAIの両側から裏づけが取れたのは、日付の新しさです。比較記事は商品の価格や機能が変われば中身が古くなる形式なので、いつ確かめた内容かを読める形で示すことが、順位にも引用にも直接つながります。
Webマーケ担当者が、いまやること
自社の比較記事は消さずに、日付と1位の根拠を直します。あわせて、AIがすでに引用している他社の比較記事に自社が載っているかを確かめ、載っていなければ運営元に相談します。
どれもブラウザと自社のCMSだけで進められる作業で、外注や広告費は要りません。
- 自社の比較記事を開き、公開日か更新日がページ上に日付として書かれているかを見る。無いか2年以上前なら、価格と機能を確かめ直してから更新日を載せる
- 自社を1位にしている理由を1つずつ見直し、口コミサイトの評価や件数のような自社の外の数字で言えないものは、1位の根拠から外す
- 競合が勝っている点と、どんな会社には他社が向いているかを書き足す。利害を明かして公平に書くほうが、並べた情報だけを拾われて競合の推薦に使われる事態を避けやすい
- 商品ごとに見出しを細かく立てている記事は、比較の部分を表やカードにまとめ、見出しの数を減らす
- ChatGPTに自社の分野で「おすすめは」と5問聞き、回答に引用された比較記事のURLを書き出す。自社が載っていない記事は、運営元に掲載を相談する候補にする
- 主な口コミサイトに自社のページがあるかを確かめ、無ければ登録して、最近の顧客に評価を依頼する
新しい比較記事を増やすより、既存の記事の日付と根拠を直すほうが、検索とAIの両方で確かめられた効き目に沿っています。
観測手法
公開された資料3件だけを使いました。1件目は、Kevin Indigが2026年8月31日にGrowth Memoへ公開した「What makes a good listicle?」です。米国の英語の検索6万件から得た59,984件の有効なGoogle検索結果と15分野を対象に、件数入りの比較記事と件数なしの比較記事の直接対決、15分野から200本ずつ集めた3,000本の比較記事のページの要素、2026年1月15日と8月24日の推定流入の比較、売り手が作ったB2Bの比較記事434本の人手による確認の4つを組み合わせています。
2件目は、Mateusz Makosiewiczが2026年7月24日にAhrefsへ公開した「AI Search Strategy: 4 Pillars to Show Up More (and Right) in AI Answers」です。自社1位の比較記事をAIがどう使ったかの実験の結果、AIが引用する内容の新しさ、AIの回答に自社名が出た経路の内訳を拾いました。実験の件数や期間はこの記事の中には書かれていません。
3件目は、Cecilia Meisが2026年7月30日にSemrushへ公開した「Digital PR for AI visibility: 5 tactics + how to measure」です。ChatGPTが第三者の比較記事を引用した事例、AI Overviewsが自社の比較記事を引用しつつ競合をすすめた例の紹介、口コミサイトとAIの引用の関係を示した2件の分析の数値を拾いました。2件の分析の元の報告は取得していません。
AIMAによる独自の計測は行っていません。本文中の数値は、取得時に保存した原文から機械的に抽出したものです。
この記事で言えないこと
比較記事の順位と流入の分析は、米国の英語によるGoogle検索が対象で、日本語の検索や日本の比較記事で同じ差が出るかは確かめられていません。流入はツールによる推定値で、2026年8月に上位にあったページから過去をさかのぼる作りのため、途中で消えた記事は含まれていません。上位3位と8〜10位の違いも観測された関連であって、日付を新しくすれば順位が上がると示した実験ではありません。自社1位の記事を材料にAIが競合を推薦した話は、Ahrefsの実験とAI Overviewsの例の紹介によるもので、どれくらいの頻度で起きるかの数字はありません。ChatGPTが第三者の比較記事を6回引用した例も1つの質問での観察です。口コミとAIの引用の関係を示した2%と54%は元の報告を取得しておらず、条件の細部は確認できていません。ここから言えるのは、自社を1位に置くこと自体は検索の流入を押し上げていないこと、AIは売り手自身の順位づけより第三者の評価を重く見ていること、そして日付の新しさが検索とAIの両方で結びついていること、この3点までです。
突き合わせた資料
- 比較記事の順位と流入の実測What makes a good listicle?(米国のGoogle検索59,984件・比較記事3,000本・売り手のB2B比較記事434本)
Growth Memo (Kevin Indig)/取得 2026-08-31 - 自社1位の比較記事をAIがどう使ったかの実験AI Search Strategy: 4 Pillars to Show Up More (and Right) in AI Answers(自社1位の比較記事の実験・AIが引用する内容の新しさ)
Ahrefs/取得 2026-08-20 - AIが引用した比較記事の事例と口コミの効果Digital PR for AI visibility: 5 tactics + how to measure(ChatGPTの引用事例・口コミサイトとAIの引用の関係)
Semrush/取得 2026-08-20