AI検索対策では、どんなキーワードを狙えばいいのか AIが自分で投げた検索5,333件は平均6.56語
- Geminiが答えを書く前に自分で投げた検索5,333件を集めた実測では、長さは3語から17語、平均は6.56語で、半分以上が6〜7語に収まりました。人が打ち込む2〜3語のキーワードとは形が違い、月間検索数がほぼ0の言い回しが並びます。
- そのうち33%に2025や2026といった年が入っています。学習した知識が2026年3月で止まっていることをAIの側が自覚していて、足りない鮮度を検索で埋めに来ているためです。
- 6分野の模擬実験では、検索順位と実際の引用の一致が0.853でした。上位に出ることが引用の条件になる一方、実際の検索1.1万件の比較では、長い文書が過剰に選ばれ、「〜かもしれない」といった留保の言葉は要約で最大60%落ちています。
答え:狙うのはキーワードではなく、機械が自分で作る6〜7語の質問文
Geminiが答えを書く前に自分で投げた検索5,333件を数えると、長さの平均は6.56語で、半分以上が6〜7語に収まっていました。人が検索窓に打ち込む2〜3語とは形が違うため、キーワードツールの上位語を並べる作業では届きません。
AI検索対策と聞いて最初に浮かぶのは、どの語で上位を取ればいいのかという問いでしょう。ところがAIは、利用者が書いた文をそのまま検索窓へ入れているわけではありません。自分の中の知識では足りないと判断したとき、AIは自分用の検索文を組み立てて投げ、返ってきたページを読んでから回答を書きます。
この自分用の検索は「グラウンディングクエリ」と呼ばれ、長いあいだ外からは見えませんでした。2026年に入ってGeminiのAPIが一部を返すようになり、1,000の小テーマから5,333件を集めた実測が公開されています。長さは短いもので3語、長いもので17語、平均は6.56語でした。
| 見ているもの | 実測 |
|---|---|
| 長さの範囲 | 3語〜17語 |
| 長さの平均 | 6.56語 |
| 6〜7語が占める割合 | 半分以上 |
| 年号を含むものの割合 | 33% |
実物を見ると性格がはっきりします。下の3件はいずれも6〜7語の帯に入るもので、日本語なら「自動車保険 補償 種類 標準」あたりに当たる、条件を足して絞り込んだ形の質問です。
| 投げられた検索 | 意味 | 語数 |
|---|---|---|
| standard types of auto insurance coverage | 自動車保険の標準的な補償の種類 | 6語 |
| must have baking tools equipment beginner | 初心者に必須の製菓道具 | 6語 |
| extended stay hotel amenities vs traditional hotels | 長期滞在型ホテルと従来型ホテルの設備の違い | 7語 |
もっと長いものになると、人の検索とは見た目からして別物です。17語の最長例はOR演算子で3つの言い回しを束ねた文字列で、ほかにも関連語をただ詰め込んだだけのものが混ざっています。こうした言い回しの月間検索数はほぼ0なので、検索数の多い語から埋めていく従来のやり方では、そもそも候補に上がってきません。
Grounding is Google running searches for itself…(グラウンディングは、Googleが自分のために走らせている検索)
3件に1件は、年号が入っている
集めた5,333件のうち33%に2025や2026といった年が入り、「2025 2026」と続けて並べたものまでありました。学習した知識が古いことをAIの側が自覚していて、そのぶんを検索で埋めに来ているからです。
Geminiの学習データは2026年3月で止まり、中には2025年1月まで遡る古さのものも混ざります。この差を埋めるのがグラウンディングの役目なので、AIは年を明示して新しい情報を要求します。逆に言えば、いつの話なのか読み取れないページは、この段階でふるい落とされる側に回ります。
ここが担当者の手で動かせる部分です。記事の投稿日をサイドバーの小さな文字に置いているだけなら、本文の中でも年に触れておくほうが有利になります。価格や事例を扱うページなら、なおさら効きます。
その検索で上位に出れば、引用される確率は高い
検索順位と実際の引用がどれだけ一致するかを6分野で確かめた模擬実験では、一致の度合いを表す指標が0.853になりました。AIの回答に載るかどうかは、AIが投げた検索で上位に来られるかとほぼ同じ問題です。
グラウンディングクエリの形が分かっても、そこで上位に出ることが引用につながらなければ意味がありません。この橋渡しを検証したのが、文書を作る側とAIが順位を付ける側を20回繰り返してぶつけた模擬実験です。順位の上下は、生成された回答の中で実際に引用されたかどうかと0.853の精度で一致しました。1に近いほど当たっているという読み方をする指標なので、かなり強い対応です。
ただし同じ実験は、あまり気持ちのよくない副作用も見せています。順位を取りやすい形へ文書を寄せる作業を20回続けると、順位と、独立に判定した中身の質との一致が、6分野すべてで下がりました。下がり幅は0.018から0.107で、平均は0.068です。無作為な目標へ寄せた対照群では同じことが起きていないため、書き直しの回数ではなく、順位という目標そのものが原因になります。
幅は小さいものの、向きは6分野で揃っています。順位に効く形へ寄せる作業には効果があり、それを続けるほど中身の良し悪しから離れていくわけです。だから形だけ整えたページを量産する方向へは行かず、答えの中身を保ったまま形を合わせる、という順番になります。
同じ質問でも、システムによって選ばれる資料が違う
実際の検索1.1万件を5つのシステムに通した比較では、Wikipediaと長い文書が過剰に選ばれ、SNSの投稿と否定的な書き方の資料は大きく減りました。どのAIで聞くかによって、読者が見る世界そのものが変わります。
比べたのは、検索なしのGPT、検索付きのGPT、Perplexity、GoogleのAI Overviews、通常のGoogle検索の5つです。同じ質問を投げても、引用に選ばれる資料の顔ぶれはシステムごとに偏っていました。狙う質問を当てたとしても、そこから先の選別が均一ではないということになります。
| 扱われ方 | あてはまるもの |
|---|---|
| 実際より多く選ばれる | Wikipedia、長い文書 |
| 実際より少なく選ばれる | SNSの投稿、否定的な書き方の資料 |
| 要約の段階で削られる | 「〜かもしれない」といった留保の言葉(最大60%減) |
3つ目の削られ方が、書き手にとっていちばん厄介です。元の資料が慎重に条件を付けて書いていても、要約されると留保だけが最大60%落ち、自信のある調子の部分は残ります。条件付きの答えを注釈のように添える書き方だと、その注釈が消えた形で読者に届く恐れがあります。
対策は難しくありません。「場合によります」で終わらせず、条件ごとに分けた答えを本文の中で言い切る形にすれば、削られても意味が壊れません。長い文書が有利という偏りもあるので、短いページを数で増やすより、1つの問いに最後まで答えた1本を厚くするほうが噛み合います。
Webマーケ担当者が、いまやること
やることは、自社のテーマを6〜7語の質問文に割り直し、その質問でGoogleを引いて自社の位置を見ることです。AIが投げる検索も上位のページを読むため、この確認だけで引用の可能性がおおよそ見えます。
専用のツールは要りません。検索窓と、自社のページの中身だけで足ります。以下は、ここまでの3件から素直に導ける確認手順を、担当者が自分の手でできることに絞ったものです。
- 自社の商材について、条件を足した6〜7語の質問文を20本ほど書き出す。「◯◯とは」ではなく「◯◯ 費用 相場 中小企業 2026」のように、絞り込む語を並べた形にする
- その20本をそのままGoogleで検索し、自社のページが1ページ目に出ないものに印を付ける。ここに出ないものは、AIの引用にも入りにくい
- 印を付けた質問のうち、自社が答えを持っているものだけを残す。答えを持たない質問は、無理に記事を作らず捨ててよい
- 残した質問に答えるページで、本文の中に年と時点を書く。サイドバーの投稿日だけでは、いつの話か読み取られない
- 「場合によります」で終わっている箇所を、条件ごとの答えに書き換える。留保の言葉は要約で落ちるため、条件そのものを本文へ出す
質問文を20本書き出す作業は、1時間ほどで終わります。そのうえで1ページ目に出ていない質問が半分を超えるようなら、記事の本数ではなく、いま持っているページの中身を厚くするほうが先になります。
観測手法
公開された一次資料3件だけを使いました。1件目は、Mozが2026年9月1日に公開した調査「Demystifying Grounding Queries with Real Data」(著者 Dr. Peter J. Meyers)です。GeminiのVertex APIが返すgroundingMetadataから、1,000の小テーマにつき約5件、合計5,333件のグラウンディングクエリを収集し、語数の分布と年号の出現率を集計しています。
この収集には条件が付きます。Gemini 3.5 Flashを「思考」の水準を中程度以上にして動かしても、通常は1〜2件しか返らず、まったく返らない場合も多くありました。調査元は、指示文を調整して4〜6件を出させたうえで集めたと注記しています。実際のAI Modeの挙動とは異なる可能性があり、費用は2026年8月時点で1,000件あたり14ドルです。
2件目は、Qianwen Gaoらが2026年8月31日にarXivへ投稿した論文「CHASE: How Content Ecosystems Are Reshaped When Ranking Is the Only Target」です。文書を書き直す側とLLMが順位を付ける側を6分野で20回繰り返す模擬環境を作り、順位と引用の対応をAUCで0.853±0.093と測ったうえで、順位と独立評価による質との相関の変化を追っています。実際のWebではなく制御された模擬環境での結果です。
3件目は、Michelle Huangらが2026年3月17日に投稿し、8月28日に第2版を出した論文「Answer Bubbles: Information Exposure in AI-Mediated Search」です。実際の検索11,000件を、検索なしのGPT、検索付きのGPT、Grokを併用したPerplexity、Google AI Overviews、通常のGoogle検索の5つに通し、引用元の多様性、生成された要約の言語的な特徴、要約と引用元の忠実さの3層で比較しています。
AIMAによる独自の計測は行っていません。本文中の数値は、取得時に保存した原文から機械的に抽出したものです。
この記事で言えないこと
3件はいずれも英語圏の環境での観測で、日本語の検索やGeminiの日本語回答で同じ形のグラウンディングクエリが投げられるかは示されていません。語数の平均6.56語という値も英語の単語数なので、日本語の文字数や語数へそのまま置き換えることはできず、参考にできるのは「条件を足して絞り込んだ長さになる」という向きまでです。Mozの収集は指示文を調整して件数を増やしたうえでのもので、調査元自身がAI Modeの実際の挙動とは異なる可能性を認めています。CHASEは実際のWebではなく模擬環境での20回の反復で、順位と質のずれ幅は0.018から0.107と小さく、この幅がそのまま現実の順位変動に対応するとは言えません。Answer Bubblesが示す偏りも、5つのシステムの2026年時点での挙動であり、モデルが更新されれば向きが変わり得ます。ここから言えるのは、狙うべき単位が単語ではなく質問文であること、鮮度と長さと言い切りが選別に効いていること、この2点までです。
突き合わせた資料
- 機械が投げた検索の実データDemystifying Grounding Queries with Real Data(Gemini APIから収集した5,333件/1,000の小テーマ)
Moz/取得 2026-09-01 - 順位と引用のつながりの検証CHASE: How Content Ecosystems Are Reshaped When Ranking Is the Only Target(6分野・20回反復の模擬環境)
arXiv cs.IR/取得 2026-09-01 - 引用元の偏りの実測Answer Bubbles: Information Exposure in AI-Mediated Search(実際の検索11,000件/5システムの比較)
arXiv cs.CL/取得 2026-09-01
出典
- Demystifying Grounding Queries with Real Data|Moz(Dr. Peter J. Meyers、2026年9月1日)
- CHASE: How Content Ecosystems Are Reshaped When Ranking Is the Only Target|arXiv:2608.30466(Qianwen Gao ほか、2026年8月31日)
- Answer Bubbles: Information Exposure in AI-Mediated Search|arXiv:2603.16138(Michelle Huang ほか、2026年8月28日 v2)