AIに引用される文章は何が違うのか 118億件の引用実測と、一節ごとの採点結果
- 8つのAIが出した118億件の引用元を分類した実測では、57%が企業の運営するサイトからでした。報道でもSNSでもなく、企業サイトの長い裾野が最大の供給源で、29業種のうち24業種でこれが最大の塊になっています。
- ただし採点されるのはページ全体ではなく、そこから切り出された一節です。12の公開モデルに同じ製品の一節を2通り読ませた測定では、会社紹介の形をした説明文が0.0019%、質問にそのまま答える一文が99.9%超に分かれました。
- その採点の相手になる質問は、狙ったキーワードではありません。5万件を作って測ったデータでは、分解後の質問は平均8.2語で、社名や競合名が入っていたのは12.8%だけ。社名で検索されたときだけ整えても、残りには届きません。
答え:AIが読み比べているのは、ページ全体ではなくその中の一節
AI検索は、あなたのページを1枚の単位で見ていません。ページから切り出された一節が、他社の一節と横並びで採点されます。強いページの中に弱い一節が同居し、無名のページの一節が引用されるのは、そのためです。
AIが回答を作るまでには、いくつもの工程が挟まっています。まず利用者の質問が複数の検索語に分解され、次に語の一致を見る従来型の検索と、意味の近さを見る検索の両方で候補が集められます。集まる候補は数十件から数百件になるため、そのままでは多すぎ、質問と候補を1件ずつ読み合わせて点数を付ける工程が入ります。この採点で上位に残ったものだけを材料に、AIは文章を書き、その一部を引用元として画面に示します。
ここで採点される単位が、この話のいちばん重要なところです。多くの検索の仕組みでは、点数が付くのはURLではなく、ページから切り出された一節のほうになります。被リンクが多く検索順位も高いページが、質問にまっすぐ答える一節を1つも持っていないという理由で落ちる一方、権威のないページでも、いちばん分かりやすい答えがそこに書かれていれば残ります。ページ単位のSEO指標だけで引用の勝ち負けを説明できないのは、採点の単位がずれているからです。
引用されない理由も、この流れのどこで落ちたかで分かれます。段階ごとに直す場所がまるで違うので、先に切り分けないまま書き直しても、結果は動きません。
| どこで落ちたか | 担当者からの見え方 | 直す場所 |
|---|---|---|
| そもそも候補に入っていない | どの質問でも自社が出てこない | ページの有無、AIの巡回の可否、情報の古さ |
| 候補には入るが採点で負ける | 同じ話題で競合ばかりが引用される | その質問に答える節の書き方 |
| 一節は強いが引用に至らない | 話題には出るが自社へのリンクが付かない | 出典としての信頼性、引用元の多様性 |
同じ話題でも、一文の書き方で採点は0.0019%から99.9%へ動いた
12種類の公開モデルに、同じ製品についての一節を2通り読ませた測定があります。会社紹介の形をした説明文はほぼ0点で、質問にそのまま答える一文は9割台後半でした。話題は同じで、変えたのは答え方だけです。
質問は「最適なAEOツールは何か」。読ませた一節は2つで、片方は「Peecはブランドの言及を追跡するAI回答最適化プラットフォームです」という自己紹介の文、もう片方は「2026年のベストAEOツールはPeec AI、競合A、競合B、競合Cです」という直接の答えでした。扱っている製品も話題も同じですが、採点は次のように分かれます。
| 採点モデル | 説明文の一節 | 直接答える一節 |
|---|---|---|
| MS-MARCO MiniLM-L6-v2 | 0.0019% | 99.9%超 |
| MS-MARCO MiniLM-L12-v2 | 0.0018% | 99.9%超 |
| MS-MARCO TinyBERT-L2-v2 | 0.0015% | 99.9%超 |
| MS-MARCO Electra-base | 0.0026% | 99.4% |
| BGE-reranker-base | 11.6% | 99.9%超 |
| BGE-reranker-large | 0.20% | 99.8% |
| Qwen3-Reranker-0.6B | 0.27% | 99.9%超 |
| MS-MARCO MiniLM-L6 EN-DE | 0.12% | 99.9%超 |
| mMARCO mMiniLM-L6-v2 | 0.37% | 99.9%超 |
| Ettin-reranker-150M | 99.9% | 99.9%超 |
| SPLADE-cocondenser | 2.57(語の重なりの合計) | 24.83(同左) |
| Jina-ColBERT-v2 | 0.36(語ごとの平均一致度) | 0.57(同左) |
桁が3つも4つも動く理由は、この種のモデルの読み方にあります。質問と一節を別々に処理するのではなく、1つの入力としてまとめて読み込み、質問のどの語が一節のどこに対応するかまで見にいくため、答えの言葉が一節の中に存在しないと点が立ちません。運営元の知名度も被リンクの本数も、この計算には一切入らないのです。「その話題について書いてある」ことと「その質問に答えている」ことが別の試験になっている、というのがこの測定の中身になります。
ただし、12のうち1つだけは説明文にも99.9%を付けました。ここは無視できない不一致で、モデルごとに厳しさがまったく違うため、別のモデルの点数を並べて平均を取るような読み方は成り立ちません。それでも12モデルのすべてが、直接答える側を同じか高く評価しました。読めるのは絶対値ではなく、同じモデルの中での書き換え前後の差だけです。
もう一つ、この数値の限界を先に置いておきます。表の%は候補どうしを並べ替えるための値であって、引用される確率ではないと測定した本人が明記しています。質問の文言をそのまま貼り付ければ99%引用される、という話ではありません。
採点の相手になる質問は、担当者が狙ったキーワードではない
利用者が入れた1つの質問は、複数の具体的な質問へ分解されてから検索されます。5万件を作って測ったデータでは、分解後の質問は平均8.2語。ブランド名が入っていたのは12.8%にとどまりました。
前の章の採点は、質問と一節の組み合わせで決まります。とすると、実際にどんな質問が相手になるのかを知らないまま一節を直しても、的が外れます。この分解のされ方を大きな規模で公開したのが、20の業種から1,000の小テーマを取り、それぞれに50件ずつ、合計5万件の分解後の質問を作って公開したMozのデータセットです。
質問の長さは3語から13語に収まり、平均は8.2語でした。日本語にすると「効果的な退去時ヒアリングの進め方」「初心者向けの手頃なゴルフクラブセットはどこで手に入るか」「一度好きになったブランドから客が離れるのはなぜか」といった具合で、2語や3語のキーワードとは形が違います。狙った語をページに何度も置くという作業が効きにくいのは、相手がこの長さの問いだからです。
もっと直接効いてくるのがブランド名の扱いで、5万件のうち自社名や競合名が入っていたのは12.8%しかありませんでした。しかもその大半は偏っていて、10種類ある分解の型のうち2つ、企業そのものを問う型と比較を求める型だけで、ブランド名の97%を占めています。裏を返せば、社名で検索されたときだけ整えても、残りの大多数の質問には自社の一節が候補として届きません。
分解された質問が主題からどれだけ離れるかも測られています。主題との近さは0.22から1.00までに散らばり、平均は0.67でした。1.00は「ソフトウェア資産管理」に対する「ソフトウェア資産管理とは何か」で、主題をほぼそのまま問い直したもの。いちばん遠い0.22は「クラウドストレージサービス」に対する「ファイルの限定リンクを共有する方法」で、主題の語が1つも入っていません。AIの質問は、その分だけ具体的な作業の側へ飛びます。
直す先は自社サイト。118億件の引用のうち57%が企業サイトから来ている
8つのAIが出した118億件の引用元を分類した実測では、57%が企業の運営するサイトでした。報道でもSNSでもなく、企業サイトの長い裾野が最大の供給源です。2件に1件より多い計算になります。
一節を直す作業に意味があるのは、AIがそもそも企業サイトを読んでいる場合だけです。ここを測ったのが、AI可視性を扱うProfoundが2026年4月から7月にかけて集めた118億件の引用で、引用元は企業サイト、報道や第三者の記事、SNSやユーザー投稿の3つに分けられています。全モデルを合わせた企業サイトの比率は約57%、29の業種のうち24業種で、企業サイトが3つの中の最大の塊でした。
ここでいう企業サイトは自社のものに限りません。競合や隣接する会社の運営するサイト、製品サイト、企業が出しているブログや技術文書までを含む区分です。したがって、この57%は「自社の一節が引用される」保証ではなく、「引用の椅子の半分以上が企業サイトに配られている」という意味になります。誰の企業サイトがその椅子を取るかは、前の2章で見た一節の書き方と質問の分解に戻ってきます。
ただし、AIごとにも業種ごとにも、自社サイトの効き方は変わる
同じ企業サイトでも、Geminiでは引用の69%、ChatGPTでは47%と開きがあります。業種の差はもっと大きく、最高のサイバーセキュリティが74%、最低の政府・非営利は15.9%でした。
AIごとに、読める情報の範囲が違います。ChatGPTを運営するOpenAIはRedditなどと数千万ドル規模の使用許諾を結んでおり、Googleも同様の提携に資源を割いてきました。AIは見えないものを引用できないため、この差がそのまま引用元の構成に出ます。自社サイトの手入れがどれだけ効くかは、どのAIで見られたいかによって変わります。
| AI | 企業サイト | 報道・第三者 | SNS・ユーザー投稿 |
|---|---|---|---|
| Google Gemini | 69% | ― | ― |
| ChatGPT | 47% | 30%(8モデル中で最高) | ― |
| Google AI Overviews | ― | 17.0%(同・最低) | 15.3% |
| Google AI Mode | ― | ― | 14.4% |
| Microsoft Copilot | ― | ― | 約29件に1件 |
業種による差は、AIによる差よりさらに大きく開きます。企業サイトへの依存がいちばん高いサイバーセキュリティは74%に達する一方、政府・非営利は15.9%しかありません。製薬・バイオでは引用の59%が報道や第三者の記事から来ており、主張に対する審査が厳しく、社内の合意に時間がかかるぶん、外部の媒体と組むほうが実際に早いという事情が背景にあります。
| 業種 | 企業サイト | 報道・第三者 | SNS・ユーザー投稿 |
|---|---|---|---|
| サイバーセキュリティ | 74%(29業種で最高) | ― | ― |
| マーケティング | 72% | ― | ― |
| 製薬・バイオ | 33% | 59% | 5% |
| SaaS・ソフトウェア | ― | 11.4% | ― |
| ファッション | ― | ― | 16.5% |
| 政府・非営利 | 15.9%(同・最低) | ― | ― |
この業種の値は基準線であって、天井ではありません。同じ業種の中でも、上位25%の企業と下位25%の企業では、報道からの引用の比率が最大43ポイント開きます。つまり業種の平均は「自社がどれだけ離されているか」を測る物差しであり、そこで止まる理由にはならないということです。
Webマーケ担当者が、いまやること
直す単位は、ページではなく節です。ブランド名を含まない8語前後の質問を書き出し、その質問に答える一文を、該当する節の最初の2行へ置く。これがいちばん安く効く順番になります。
3つのデータを重ねると、やることの順番が決まります。企業サイトが最大の供給源である以上、自分の手が届く自社ページを直す価値はあり、しかし直す単位はページではなく節で、その節が相手にするのは狙ったキーワードではなく具体的な問いです。以下は、担当者が自分の手で今日できることだけを並べたものです。
- 主要なテーマごとに、社名を入れない8語前後の質問を10本書き出す。「〜とは何か」「〜のおすすめ」「AとBの違い」「〜のやり方」のように型を散らし、社名入りは10本のうち1本か2本にとどめる
- その10本を1本ずつ、自社サイトのどのページのどの節が答えるはずかを決める。決められない質問が出たら、それは書く場所が無いという意味なので、書くページを先に決める
- 該当する節を開き、最初の2行を読む。話題の説明から入っていたら、質問にそのまま答える一文を先頭へ足す。条件や根拠は、その答えの後ろへ回す
- 節の中で主語を省かない。「このツールは」「弊社では」を製品名と社名に書き換える。その節だけが切り出されて読まれるため、前の見出しに書いた主語は相手に届かない
- 質問の型と答えの形を合わせる。下の表の右端が、その節に入っていないと採点で負けやすい要素になる
- 見出しの文言を、書き出した質問の言い方へ寄せる。担当者向けの言い回しではなく、利用者が口に出す形にそろえる
- 自社サイト以外への配分を業種で判断する。製薬や政府・非営利に近い性格の事業なら、自社ページの手入れだけでは届く範囲が狭いため、第三者の媒体に載る動きを並行させる
- ChatGPTでの露出を重く見るなら、第三者の記事の比重を上げる。Geminiが主戦場なら、自社サイトの節の手入れが直接効く
- 「AI可視性スコア」を1つの数字で示す提案は、その中身を聞く。候補に入る段階、採点で勝つ段階、引用される段階のどれを測ったのかで、打つ手がまったく変わる
| 質問の型 | 求められる答えの形 | その節に入れておくもの |
|---|---|---|
| Xとは何か | 短い定義 | 対象の名前、何の一種か、他と違う点、裏づけになる出典 |
| Y向けのおすすめのX | 条件つきの候補一覧 | 具体的な選択肢の名前、選んだ条件、長所と短所、想定する読者、いつ時点の情報か |
| XとYの比較 | 同じ物差しでの対比 | 両方に同じ条件を当てた結果と、違いの言い切り |
| Xのやり方 | 順序のある手順 | 前提、手順、できあがりの状態、例外 |
| 価格・日付・現状 | 日付つきの事実 | 正確な値、いつからの値か、一次情報の所在、更新の経緯 |
最後に、この3つを重ねても言えないことを書いておきます。答えの一文を置けば引用される、という因果はどの資料にもありません。示せるのは、企業サイトが最大の引用元であり、その中で採点されるのは節であり、節が相手にする質問は具体的で長い、という3つの対応関係までです。それでも、直す単位を節に変えることは、担当者が自分の手で今日から始められて、外れても損の小さい打ち手になります。
観測手法
公開された一次資料3件だけを使いました。1件目は、AI可視性を扱うProfoundが2026年7月30日に公開した調査「Where do AI citations come from?」(著者 Jasman Singh)です。対象は、ChatGPT、Claude、Google AI Mode、Google AI Overviews、Google Gemini、Grok、Microsoft Copilot、Perplexityの8モデルが2026年4月16日から7月16日までに出した118.4億件の引用で、同社が保有する8,061カテゴリのうち、引用が100件以上あった7,542カテゴリが集計に入っています。引用先のホスト名は登録可能なドメインに正規化され、302万ドメインの分類表に突き合わせて企業サイト、報道・第三者、SNS・ユーザー投稿の3つへ割り振られます。分類表は全引用量の98.3%を覆い、残る未分類と「その他」は業種ごとに2%から7%です。数値はいずれもカテゴリ単位の中央値で、引用量の多いブランドが業種の値を支配しないよう、カテゴリを1件ずつ等しく重み付けしています。地域、言語、その他の属性による差は考慮されていません。
2件目は、AI可視性ツールのPeec AIが2026年8月6日に公開した解説「Rerankers for GEO/AEO: How AI search chooses passages and sources」(著者 Metehan Yesilyurt)です。記事中の採点表は、12の公開されている採点モデルに、同じ質問と同じ2つの一節を読ませて測った出力になります。数値は各モデルの中で表示用に正規化されているため、モデルをまたいで比較することはできません。また、ChatGPTやGoogle AI Overviewsがこれらのモデルを使っているという主張でもありません。
3件目は、Mozが2026年8月6日に公開したデータセットと分析「What 50k Query Fan-Outs Reveal About Brands」(著者 Dr. Peter J. Meyers)です。20の業種から1,000の小テーマを取り、1テーマにつき10種類の分解の型を5件ずつ、合計5万件の質問を生成したもので、生成にはGemini 3.1 Flash Lite、グラウンディング用の5,333件の取得にはGemini 3.5 Flashが使われています。主題との近さは、小テーマを「Xとは何か」の形の文に直したうえで測ったコサイン類似度です。
AIMAによる独自の計測は行っていません。本文中の数値は、取得時に保存した原文から機械的に抽出したものです。
この記事で言えないこと
3件はそれぞれ別のものを測っており、間を直接つなぐ因果は示せません。示せるのは、企業サイトが最大の引用元であること、採点の単位が一節であること、その相手になる質問が具体的で長いことの3つが同じ方向を指している、という対応関係までです。Peecの採点は公開されているモデルによるもので、実際のAI検索が使っているモデルではありません。数値は候補を並べ替えるための値であって、引用される確率でもありません。Profoundの調査は同社が扱うカテゴリの上での観測であり、地域や言語による差は考慮されていないうえ、ドメインの分類表は時点で固定されているため、後から作られたドメインは未分類に落ちます。Mozの5万件は実際のGoogleが行った分解の記録ではなく、Geminiで生成した推定です。したがって「答えの一文を置けば引用される」ことは、この材料では確認できていません。
突き合わせた資料
- 引用元の実測Where do AI citations come from?(118億件の引用の分類)
Profound/取得 2026-08-20 - 仕組みと採点の測定Rerankers for GEO/AEO: How AI search chooses passages and sources
Peec AI/取得 2026-08-20 - 質問の分解のデータセットWhat 50k Query Fan-Outs Reveal About Brands(5万件の分解後の質問)
Moz/取得 2026-08-20