AI検索で自社サイトのアクセスは減るのか 実測は5%前後の目減りと、3倍近い別経路
- 手順を先に登録して1,100人で行った実験では、Googleの画面からAI OverviewsとAI Modeを取り除くと、各サイトへのクリック率が上がりました。AI Modeだけの画面を使った人はクリックが減り、Googleで見つけた情報への信頼まで下がっています。
- 国ごとに導入時期がずれたことを使った分析では、英語版Wikipediaへの検索流入が、ドイツ語版・フランス語版と比べて5.45%と4.82%減りました。壊滅ではないものの、AIが要約だけで答えを済ませやすい内容での目減りです。
- 一方でChatGPTが2026年5月7日に回答内のリンクを目立たせたところ、そこから各サイトへ届く流入は週あたり157.7%増え、その約60%がトップページに着いています。減る場所と増える場所は同じではありません。
答え:検索からの流入は減る。ただし消えるのではなく、入口が入れ替わる
Googleの回答枠を実際に取り除いて比べた実験でも、国ごとの導入時期のずれを使った分析でも、AIの要約が出るとサイトへのクリックは減りました。減り幅は5%前後です。同じ年に、ChatGPTから各サイトへ届く流入は週あたり157.7%伸びています。
AIに答えを取られてサイトに人が来なくなる、という話はこの1年ですっかり定着しました。定着した割に、では実際どれだけ減るのかという数字を見た人は多くありません。半分になるのか5%なのかで、来期に何へお金を使うべきかはまるで変わります。
2026年8月に出た2本の研究が、この問いに別々のやり方で答えを出しています。片方はGoogleの検索画面からAI Overviewsを取り除いた状態を作って比べた実験で、もう片方は同じ機能が国ごとに時期をずらして入ったことを利用し、Wikipediaへの検索流入の変化を測ったものです。やり方は違いますが、どちらもAIの要約がある状態とない状態を分けて比べている点は共通しています。
| 調べ方 | 対象と規模 | 分かったこと |
|---|---|---|
| 参加者を割り付けた実験 | Google検索の利用者1,100人 | AI OverviewsとAI Modeを取り除くと、サイトへのクリック率が上がった |
| 導入時期の差を使った比較 | 英語版Wikipediaと、ドイツ語版・フランス語版の同じ記事 | 英語版への検索流入が5.45%と4.82%減った |
実験のほうは、手順を先に登録したうえで1,100人に協力してもらう形で行われました。AI OverviewsとAI Modeを消した画面を使った人は、通常の画面を使った人よりも各サイトへ多く進んでいます。逆にAI Modeだけの画面を使った人はクリックが減り、Googleで見つけた情報への信頼そのものも下がりました。
Wikipediaを見た分析は、もっと長い時間の幅を扱います。AI Overviewsは国ごとに順番に入ったので、英語版と、まだ入っていない時期のドイツ語版・フランス語版を並べれば、季節や話題の流行といった要因をそろえたまま差だけを取り出せます。その差が5.45%と4.82%でした。
5%という数字は、半減を覚悟していた人には拍子抜けに映るかもしれません。ただしWikipediaは、AIが要約だけで答えを済ませやすい百科事典的な内容の集まりです。ここでの目減りは下限というより、影響が出やすい側の数字として読むほうが安全でしょう。
一方で、AIから届く流入は3倍近くに増えている
ChatGPTが2026年5月7日に回答の中のリンクを目立たせる変更を入れたところ、そこから各サイトへ届く流入は週あたり157.7%増えました。一度上がった水準は元へ戻らず、新しい高さのまま続いています。
減る話ばかりが流通するのは、増えた側がいまの計測の枠に入っていないからです。利用者の閲覧記録から集計した結果を見ると、変更の前後で流入の量は段差を作って上がり、数日で消える一時的な跳ね上がりでは終わりませんでした。
変化がいちばん大きかったのは着地するページです。変更前はChatGPT経由の流入のうち26〜32%がトップページに着いていましたが、変更後は約60%へ跳ね上がり、その水準が保たれました。総量が3倍前後なのに対し、トップページへの流入だけは7倍近くに伸びています。
| 見ているもの | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| 流入の総量(前週との比較) | 横ばい | 157.7%増 |
| トップページへの流入(前週との比較) | 横ばい | 354.7%増 |
| 流入のうちトップページに着いた割合 | 26〜32% | 約60% |
| 1回の訪問で見たページ数 | 3.8 | 4.7 |
| 1回の訪問の滞在時間 | 3.5分 | 3.9分 |
この内訳が、AIからの流入は検索からの流入と別物だと教えてくれます。検索は条件に合う記事を探す動きなので、人は個別のページへ直接降りてきます。AIは会話の中で会社名やサービス名を出すため、読者はその名前をたどって玄関から入ってくるわけです。
着いたあとの動きも変わりました。1回の訪問で見るページ数は3.8から4.7へ、滞在時間は3.5分から3.9分へ伸びています。玄関から入って社内を見て回る動きなので、記事1本を読んで帰る訪問より歩数が増えるのは自然な結果でしょう。
検索をやめた人はいない。増えたのは「両方使う人」
ChatGPTの利用者のうちGoogleも使う人の割合は、2025年9月も2026年5月も95%のまま動きませんでした。AIの利用量が8か月で大きく伸びる中でこの比率だけが横ばいだったことが、乗り換えではなく併用が起きている印になります。
置き換えが本当に起きているなら、この95%は下がっていくはずです。AIだけを使う人が増えるにつれて、両方使う人の割合は薄まるからです。実際には生成AIへの訪問が月95億回、前年比70%増まで積み上がる中で、8か月を経ても重なりは1ポイントも動きませんでした。
同じ期間に、Googleの側でも回答枠の面積が広がっています。AI Overviewsが出る検索は米国で40%を超え、1年前のおよそ3分の1から増えました。ChatGPTが回答の中で出典を示す割合も、2025年6月の約1.6%から2026年5月の6.8%へ上がっています。
ここを併せて読むと、目減りを取り返す場所が見えてきます。読者は検索をやめていないので、検索結果の中で失った分を検索結果の中だけで取り返そうとするのは、面積が縮んでいく側で椅子取りをすることになります。増えているのは、AIの回答の中で名前を出してもらい、そこから玄関へ入ってくる経路のほうです。
Webマーケ担当者が、いまやること
手を入れる先はトップページと会社情報のページです。AIから来る人のおよそ6割はそこに着地し、そこで会社の中身を判断してから次のページへ進むためです。
特別な道具は要りません。GA4の画面と、いつも見ているページの中身だけで足ります。以下は、上の4件から素直に導ける手順を、担当者が自分の手でできることに絞ったものです。
- GA4の集客レポートで、参照元に chatgpt.com や perplexity.ai が並んでいる行を探す。件数が少なくても、着地したページの名前まで見ておく
- 着地の大半がトップページなら、そこを入口として作り直す。何の会社で、誰に何を提供し、いくらなのかが、下へスクロールせずに読める状態にする
- 会社概要のページに、正式な社名・所在地・設立年・事業内容を一箇所へまとめる。AIが事実を確かめに来る先はこのページになる
- 価格やサービス内容の古い記述を消す。玄関で会社を判断されるので、玄関の情報が古いとそこで引き返される
- 記事ページの検索流入が数%落ちても、施策の失敗と決めつけない。要約が出る検索での目減りは、いまどのサイトにも起きている
- 順位を上げる作業だけに予算を寄せない。目減りを取り返す場所は、同じ検索結果の中ではなくなってきている
- レポートにAI経由の流入の行を足し、検索流入と分けて並べる。合算すると、減った分と増えた分が打ち消し合って何も見えなくなる
順番としては、記事を増やすより先に玄関を直すほうが効きます。AIは会話の中で社名を出し、読者はその名前を手がかりに入ってくるので、玄関の作りがそのまま会社の印象になるからです。記事を足す作業は、その土台ができてからでも遅くありません。
観測手法
公開された一次資料4件だけを使いました。1件目は、Stephanie T. Wangらが2026年8月18日にarXivへ投稿した論文「AI in Search Reduces Publisher Referrals Without Improving User Experience」です。Google検索の利用者1,100人を対象に、手順を事前登録したうえで実施された実地の実験で、AI OverviewsとAI Modeを取り除いた画面、AI Modeだけの画面、通常の画面を割り付けて比較しています。測ったのは各サイトへのクリック率、利用体験、Googleで見つけた情報への信頼です。
2件目は、Mehrzad KhosraviとHema Yoganarasimhanが2026年2月5日に投稿し、8月26日に第5版を出した論文「Impact of AI Search Summaries on Website Traffic」です。AI Overviewsが国ごとに順番に導入されたことと、Wikipediaが同じ記事を複数の言語で持つことを利用しています。英語版の記事への月次の検索流入を、同じ記事のドイツ語版・フランス語版と突き合わせる差分の差分法で、5.45%と4.82%という減少幅を推定しました。
3件目は、Similarwebが2026年8月20日に公開した集計「ChatGPT Referral Traffic Near Triples Overnight」(著者 Adelle Kehoe)です。同社のデスクトップの閲覧記録をもとに、2026年4月30日から5月20日までのChatGPT経由の流入を、5月7日の変更をはさんだ前週と後週で比較しています。総量、着地したページ、1回の訪問あたりのページ数と滞在時間が対象で、実数はグラフ上で伏せられ、変化率と割合で示されています。
4件目は、Similarwebが2026年8月4日に公開した分析「Is AI Replacing Search?」(著者 Maayan Zohar Basteker)です。同社の2026年版の生成AI動向レポートから、ChatGPTの利用者のうちGoogleも使う人の割合、生成AIへの月間訪問数、ChatGPTの回答に出典が付く割合、AI Overviewsの出現率を引いています。集計の対象はブラウザとアプリの利用に限られ、APIやデスクトップアプリ経由の利用は含みません。
AIMAによる独自の計測は行っていません。本文中の数値は、取得時に保存した原文から機械的に抽出したものです。
この記事で言えないこと
4件はそれぞれ別の場所を測っており、減った分と増えた分を差し引きした正味の値を出すことはできません。実験は米国のGoogle検索の利用者1,100人という規模での短期の観測で、業種別の内訳も、日本語の検索での再現も示されていません。Wikipediaの分析は百科事典的な内容に限られるため、この5.45%という幅を企業サイトや商品ページへそのまま当てはめることはできず、AIが要約で済ませにくい内容では目減りはより小さくなる可能性があります。Similarwebの2件は同社のデスクトップの閲覧記録という一つの標本の上での観測で、実数が伏せられているぶん、変化率の分母は読者側から確認できません。またAPIやデスクトップアプリ経由の利用が集計から外れているため、併用が続いているという結論は、その外にいる利用者までは覆いません。したがってここから言えるのは、検索からの流入が減ることと、AIからの流入が別の入口に着くことの2点までです。
突き合わせた資料
- 取り除いて確かめた実験AI in Search Reduces Publisher Referrals(Google検索の利用者1,100人の事前登録実験)
arXiv cs.IR/取得 2026-08-20 - 導入時期の差による観測Impact of AI Search Summaries on Website Traffic(英語版Wikipediaと独仏語版の差分の差分法)
arXiv cs.CY/取得 2026-08-27 - 増えた側の実測ChatGPT Referral Traffic Near Triples Overnight(デスクトップの閲覧記録/2026年4月30日〜5月20日)
Similarweb/取得 2026-08-22 - 読者の行動が変わったかの確認Is AI Replacing Search?(ChatGPT利用者とGoogle利用者の重なり95%)
Similarweb/取得 2026-08-20
出典
- AI in Search Reduces Publisher Referrals Without Improving User Experience: Experimental Evidence|arXiv:2608.18352(Stephanie T. Wang ほか、2026年8月18日)
- Impact of AI Search Summaries on Website Traffic: Evidence from Google AI Overviews and Wikipedia|arXiv:2602.18455(Mehrzad Khosravi、Hema Yoganarasimhan、2026年8月26日 v5)
- ChatGPT Referral Traffic Near Triples Overnight|Similarweb(Adelle Kehoe、2026年8月20日)
- Is AI Replacing Search? What The 2026 Numbers Actually Reveal|Similarweb(Maayan Zohar Basteker、2026年8月4日)