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33年前のゲームをAIが移植 7万2758行のアセンブリをGodotへ

33年前のゲームをAIが移植 7万2758行のアセンブリをGodotへ
3行でわかる
  • 1993年製ゲームの3万4000行のC++と7万2758行の68000アセンブリが、Claude Codeを使ってGodotへ移植された
  • ビルド、バイナリ差分、画面比較を自動化する一方、遊び心地や曖昧な仕様は作者が判断した
  • 企業のレガシー移行では、AIへ丸ごと任せる前に再現可能な基準と人の承認点を作ることが先になる

数カ月かかった移植が、検証を挟みながら数日単位へ縮んだ

1993年にAmiga 500向けゲーム「Babylonian Twins」を開発したRami Ismail氏は、当時のゲームと2010年版をGodot 4へ移植した経緯を公開しました。対象は、2010年版の約3万4000行のC++と、1993年版の7万2758行、26ファイルに及ぶ68000アセンブリです。前回の手作業による移植は数カ月の夜間と週末を使いましたが、今回はClaude Fable 5をClaude Codeから動かし、作者が依頼、試遊、重要な判断を担いました。

最初のC++移植では、空のプロジェクトから21分で操作できるキャラクターが現れたと記録されています。ただし、ジャンプ軌道、当たり判定、トランポリンの感触を合わせる作業には約3日かかりました。さらに旧版を現代版へ組み込む工程は21時58分から23時43分までの一晩で進んだものの、作者は後から複数の誤りを発見しています。速く生成できたことと、正しく遊べることは別の成果です。

移植ではAIがファイル形式とアセンブリを読み、作者は依頼し、毎晩プレイし、違和感を伝えて判断した。

出典:Babylonian Twins開発者の一次記録を要約

コードを読むだけでなく、実行結果を突き合わせた

今回の作業を支えたのは、長いコードを一度に理解する能力だけではありません。Claude Codeはコードベースを読み、ファイルを編集し、コマンドを実行できるエージェント型の開発ツールです。作者の環境では、vasmで68000コードを組み立て、FS-UAEで起動し、Godot側では全スクリプトのコンパイルと全レベルのビルドをヘッドレスで確認しました。AIが修正案を出した後に同じ道具で結果を確かめられるため、作業が「生成して終わり」になりません。

古いソースは長いファイル名が欠け、5つあるレベルファイルの1つはデータ表の途中で切れていました。それでも出荷済みバイナリと再構築結果を比較し、形式の読み違いを絞り込んでいます。レベル画像では、抽出データから再描画した5面を過去の全体画像と画素単位で比較しました。つまり、自然言語の指示より強かったのは、正解かどうかを機械が再実行できる検査へ変えたことです。

Claude Codeはコードベースを読み、ファイルを編集し、コマンドを実行して開発ツールと連携する。

出典:Anthropic・Claude Code公式概要を要約

ビルド成功の外側に、人にしか判定できない誤りが残った

自動検査を重ねても、移植は一度で完成しませんでした。ある兵士の当たり判定では上限条件が抜け、離れた通路にいるプレイヤーが壁越しに攻撃を受けました。トランポリンでは数値上の物理計算が合っていても、2010年版特有の入力挙動を再現しないため、作者の手には跳び過ぎと感じられました。コードが動き、画面が似ていても、利用者が覚えている操作感までは差分だけで保証できません。

AI自身も曖昧さを解けない場面がありました。スプライトの同じバイト列から「横長の1枚」と「向き別の2段」の両方を説明できたため、AIは作者へ確認しています。さらに出荷バイナリ内の108バイトについて、AIは実行後のメモリ状態だと説明しましたが、作者は自分で未検証だと明記しました。単一の開発事例であり、モデル間比較、総費用、投入トークン量も示されていません。別の製品や組織でも同じ速度が出ると考える根拠にはできません。

企業は「小さく切る・正解を残す・承認を分ける」から始める

編集部は、この事例がレガシー刷新の入口を「全面的な書き直し」から「検証可能な部分移植」へ変える材料になるとみます。古いコードに文書がなくても、ビルド済みバイナリ、テストデータ、画面、操作記録が残っていれば、それらを正解の手掛かりにできます。一方で、元の振る舞いを知る人がいない業務では、AIがもっともらしい別仕様を作っても発見が遅れます。

移行前に用意するものAIへ任せる範囲人が承認する点
再現できる旧ビルド依存関係と形式の解析比較対象が正しいか
既知の入出力・画面変換と差分検査業務上の意味が同じか
小さな対象機能初稿と反復修正次の範囲へ進むか
停止・戻し方テストと記録作成本番切替と公開

実務では、重要度の低い1機能を選び、旧版と新版へ同じ入力を渡し、出力差分と操作感を記録します。そこで再現率、修正回数、人の確認時間を測ってから対象を広げるのが安全です。AIが速く書くほど、人の仕事はコード入力から、正解の定義、例外の説明、公開判断へ移ります。自動検査で拾えない誤りが多いままなら、移行速度より先に仕様と受け入れ基準を整えるべきです。

※ 本記事は公開時点の一次情報にもとづいています。最新の状況は出典をご確認ください。

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監修者 水間 雄紀

監修者:水間 雄紀

株式会社AIMA 代表取締役

1986年和歌山県生まれ、近畿大学卒。金融機関、経営コンサルティング会社を経て、2018年にコンテンツ制作の専門会社である株式会社circlizeを創業。2024年、ラグザス株式会社に事業譲渡。現在は株式会社AIMAにてAI×マーケティング事業に従事し、株式会社ラグザス・クリエイトでコンテンツの品質管理責任者を務める。

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