AIを毎日使っても68%が不安 導入率だけでは信頼を測れない

- Gallupの37カ国調査では、AIへの前向きな感情が多くの国で上回る一方、正確さを強く信頼する割合の中央値は36%だった
- 米国ではAIを毎日使う人の68%が不安を感じ、利用していることと安心して任せられることは同じではない
- 企業は利用者数だけでなく、任せた業務、確認率、修正時間、利用を避けた理由を一緒に測る必要がある
37カ国で、利用と信頼は別の数字になった
Gallupは9月22日、Microsoftと進めるAI意識調査のうち、最初の37カ国の結果を公表しました。調査はAIの認知、利用頻度、将来への期待、正確さへの信頼、感情を分けて聞いています。37カ国の中央値では、AIを知っている人が81%、仕事か私生活で使ったことがある人が43%でした。裏返すと、使ったことがない人の中央値は57%です。
期待は利用より先に広がっています。AIを知る人のうち、自分の日常を良くすると考える人が過半数だった国は25カ国。国全体への恩恵を期待する人が悲観する人を上回った国は29カ国でした。一方、AIが正確な情報を出すと「完全に」または「かなり」信頼する割合の中央値は36%にとどまり、過半数を超えたのは4カ国だけです。
AIには大きな可能性を感じながらも、その情報へ依存できるかは確信していない人が多い。
出典:Gallupの調査結果を要約
これは「使われている製品は信頼も得ている」という見方を崩します。利用率は入口へ到達した人数を示しますが、重要な判断を任せられるか、答えを確認せず使えるかまでは分かりません。企業がアカウント数や月間利用者数だけでAI導入を評価すると、現場に残る不安と確認作業を見落とします。
米国では毎日使う人にも不安が残る
差が最も鮮明なのは米国です。AIを知る米国人の74%が不安を感じると答えました。毎日使う人に限っても68%で、利用頻度が低い人は80%、使ったことがない人は74%でした。毎日使う人のほうが不安はやや低いものの、日常利用が心配を消したわけではありません。
正確さへの信頼は利用頻度と一緒に上がっています。米国でAIの正確さを強く信頼する人は、毎日利用者で45%、週次利用者で26%、週1回未満で15%、未利用者で8%でした。ただしGallupは、信頼が利用を増やしたのか、利用経験が信頼を育てたのか、この調査だけでは因果を決められないと明記しています。
37カ国全体では、前向きな感情が否定的な感情を上回った国が34カ国あり、中央値でも前向きな感情は72%、否定的な感情は41%でした。つまり結果は「世界がAIを拒んでいる」でも「使えば不安が消える」でもありません。好奇心、期待、不安、低い信頼が同時に存在する状態です。
社内AIは利用者数より「任せた範囲」を見る
AI深報編集部は、企業のAI導入が普及競争から信頼設計へ移る合図だとみます。社員が週に何回開いたかだけでなく、どの仕事を任せ、どこで人が止め、どれだけ直したかまで見なければ、利用増が生産性向上なのか、確認負担の増加なのか判断できないからです。
| よくある導入指標 | 一緒に測る指標 | 分かること |
|---|---|---|
| 月間利用者数 | 業務別の利用率 | 雑談利用と実務利用を分けられる |
| 生成回数 | 人が確認した割合 | 任せられる範囲が見える |
| 処理時間 | 修正時間とやり直し件数 | 見かけの時短を避けられる |
| 満足度 | 使わなかった理由 | 不安、規則、品質の障壁を分けられる |
たとえば文章作成なら、初稿の作成時間だけでなく、事実確認と書き直しに使った時間を残します。顧客対応なら回答件数と同時に、人への切り替え、再問い合わせ、誤案内を記録する。採用や医療、与信のように影響が大きい業務は、利用頻度が高くても自動判断の範囲を広げず、説明と異議申し立ての経路を先に用意する必要があります。
日本企業は小さな利用調査を自前で持つ
今回の公開記事には日本の個別結果が示されていません。Gallup World Pollは通常、各国で少なくとも1000人を対象にし、電話または対面で確率標本を使いますが、国ごとの調査方法や誤差は異なります。米国の68%を日本の社員や顧客へそのまま当てはめることはできません。
企業が今できるのは、四半期に一度、短い社内調査を利用ログと組み合わせることです。「使ったか」だけで終わらせず、任せた業務、結果をどの程度信頼したか、不安で避けた仕事、確認に要した時間を同じ人へ聞きます。日次、週次、未利用へ分ければ、研修不足と、使ったうえで残る品質不安を切り分けられます。
顧客向けAIでも、利用数が伸びたら安心と決めつけず、AIであることの表示、人へ切り替える方法、データ利用の説明を確認します。今後140カ国へ調査が広がり、日本でも高頻度利用と信頼が揃って伸びるなら、課題は主に習熟だと考えられます。反対に利用だけ増えて信頼が止まるなら、研修よりも精度、説明、責任分担を直すべきです。導入の成否は、何人がAIを開いたかではなく、どの仕事なら安心して任せられる状態になったかで測る段階へ入っています。
※ 本記事は公開時点の一次情報にもとづいています。最新の状況は出典をご確認ください。
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監修者:水間 雄紀
株式会社AIMA 代表取締役
1986年和歌山県生まれ、近畿大学卒。金融機関、経営コンサルティング会社を経て、2018年にコンテンツ制作の専門会社である株式会社circlizeを創業。2024年、ラグザス株式会社に事業譲渡。現在は株式会社AIMAにてAI×マーケティング事業に従事し、株式会社ラグザス・クリエイトでコンテンツの品質管理責任者を務める。
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