リスティング広告の運用方法完全ガイド|成果を最大化する具体的ステップ

リスティング広告の運用方法完全ガイド|成果を最大化する具体的ステップ

By AIMA編集部|2025-09-18|22分|監修者: 水間 雄紀

リスティング広告 運用 方法の実務解説。

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リスティング広告運用の全体像と基本

リスティング広告は、今やWebマーケティングに不可欠な施策です。しかし、その運用は専門性が高く、成果を出すためには体系的な知識と実践が求められます。本記事では、運用の全体像から具体的な改善アクションまで、成果を最大化するためのステップを網羅的に解説します。まずは基本となる仕組みやPDCAサイクルの考え方を理解し、成功への土台を固めましょう。

リスティング広告とは?その仕組みと重要性

リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンでユーザーが特定のキーワードを検索した際に、その検索結果ページに表示されるテキスト形式の広告です。検索連動型広告とも呼ばれ、ユーザーの検索意図(ニーズ)が明確な瞬間にアプローチできるため、非常にコンバージョンしやすいのが特徴です。

広告の表示順位は、広告主が設定する「入札単価」と、広告の品質を示す「品質スコア」のかけ合わせで決まるオークション形式で決定されます。単に高い金額を払えば上位表示されるわけではなく、ユーザーにとって有益で関連性の高い広告を作ることが重要になります。

この「今すぐ客」に直接アプローチできる即効性の高さが、リスティング広告の最大の強みです。新規顧客獲得や売上向上を目指す多くのビジネスにおいて、中心的な役割を担う重要なマーケティング手法と言えるでしょう。

広告運用のPDCAサイクルと成功へのロードマップ

リスティング広告で継続的に成果を出すためには、PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)を回し続けることが不可欠です。これは、感覚や経験則だけに頼るのではなく、データに基づいた改善を繰り返すための基本的なフレームワークです。

まず「Plan(計画)」では、事業目標に基づきKPIを設定し、ターゲットやキーワード、広告文、予算配分などの戦略を立てます。次に「Do(実行)」で、計画に沿ってアカウントを構築し、広告の入稿・配信を開始します。そして「Check(評価)」の段階では、配信結果のデータを分析し、計画と実績の差異や課題点を洗い出します。

最後に「Action(改善)」で、評価結果をもとに具体的な改善策(キーワードの追加・除外、入札単価の調整、広告文の修正など)を立案し、次のPlanに繋げます。この一連の流れが成功へのロードマップであり、地道にサイクルを回すことで広告効果は着実に向上していきます。

運用開始前に必ず準備すべき3つのこと(アカウント・予算・ツール)

リスティング広告を始めるにあたり、事前に準備すべきものが3つあります。第一に、広告配信プラットフォームのアカウントです。国内では主にGoogle広告とYahoo!広告が利用されており、両方のアカウントを開設するのが一般的です。開設手続きはオンラインで完結し、支払い情報(クレジットカードなど)の登録が必要となります。

第二に、広告予算の確保です。予算は「目標CPA(顧客獲得単価)×目標CV(コンバージョン)数」から逆算して設定するのが基本です。最初はスモールスタートで効果を検証し、徐々に予算を拡大していくアプローチが安全です。代理店に依頼する場合は、運用代行手数料(一般的に広告費の20%程度)も考慮する必要があります。

第三に、運用を補助するツールです。キーワード選定にはキーワードプランナー、日々の実績管理にはGoogleスプレッドシートやExcelが必須です。また、より高度な分析を行うためには、Googleアナリティクスやヒートマップツールなどの導入も検討しましょう。

【準備編】成果を左右する初期設定と戦略設計

リスティング広告の成果は、配信開始前の準備段階でその8割が決まると言っても過言ではありません。やみくもに広告を配信するのではなく、事業目標から逆算した明確な戦略を立て、ターゲットに響くメッセージを設計することが成功の鍵です。ここでは、初期設定と戦略設計における重要なステップを具体的に解説します。

事業目標から逆算するKGI・KPI設定方法

効果的な広告運用は、明確な目標設定から始まります。まず、事業全体の最終目標であるKGI(Key Goal Indicator/重要目標達成指標)を定めます。これは「売上〇〇円」「利益〇〇円」「問い合わせ件数〇〇件」といった、ビジネスの根幹に関わる指標です。

次に、KGIを達成するための中間指標となるKPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)を設定します。リスティング広告におけるKGIが「コンバージョン数」や「CPA(顧客獲得単価)」だとすれば、KPIには「クリック数」「クリック率(CTR)」「コンバージョン率(CVR)」「クリック単価(CPC)」などが該当します。

例えば、KGIが「月間売上100万円(商品単価10万円)」の場合、目標CV数は10件です。目標CPAを5万円と設定した場合、広告予算は50万円(5万円×10件)となります。さらに、想定CVRが1%なら1000クリック、想定CTRが5%なら20,000インプレッションが必要、というように具体的な行動目標に落とし込むことができます。

ペルソナ設計と効果的なキーワード選定

誰に広告を届けたいのかを明確にする「ペルソナ設計」は、キーワード選定と広告文作成の根幹をなす重要なプロセスです。年齢、性別、職業、居住地といったデモグラフィック情報だけでなく、価値観、ライフスタイル、抱えている課題やニーズといったサイコグラフィック情報まで具体的に描き出すことで、ユーザーの心に響くアプローチが見えてきます。

ペルソナが明確になれば、その人物がどのような言葉で検索するかを想像しやすくなります。キーワード選定では、まず「英会話スクール」のような中核となる「軸キーワード」を洗い出します。次いで、「英会話スクール 新宿 ビジネス」「英語 短期集中 スパルタ」のように、地域名や目的などを掛け合わせた具体的なキーワードに展開します。

Googleキーワードプランナーなどのツールを活用すれば、各キーワードの検索ボリュームや競合性、想定クリック単価を調査できます。検索ボリュームが大きく競合性の高いキーワードだけでなく、コンバージョンに繋がりやすいニッチなロングテールキーワードもバランス良く選定することが成功の鍵です。

マッチタイプの種類と戦略的な使い方

マッチタイプとは、登録したキーワードとユーザーが検索した語句がどの程度一致した場合に広告を表示させるかを制御する設定です。主に「完全一致」「フレーズ一致」「部分一致」の3種類があり、それぞれの特性を理解し戦略的に使い分けることが、広告費の無駄をなくし効果を高める上で極めて重要です。

「完全一致」は登録したキーワードと完全に同じ(または酷似した)語句にのみ広告を表示するため、最も確度が高いですが表示機会は限定されます。「フレーズ一致」はキーワードと同じ語順のフレーズを含む検索語句に表示されます。「部分一致」は関連性があると判断された幅広い語句に表示されるため、リーチは最大化できますが、意図しない検索語句で表示されるリスクもあります。

戦略としては、キャンペーン初期は部分一致で広く潜在的な検索語句を収集し、検索語句レポートを分析してコンバージョンに繋がる語句をフレーズ一致や完全一致で追加、無関係な語句は除外キーワードに設定するという流れが効果的です。これにより、徐々にアカウントの精度を高めていくことができます。

クリック率を高める広告文作成の鉄則

リスティング広告において、広告文はユーザーが最初に目にする接点であり、クリック率(CTR)を大きく左右する要素です。魅力的な広告文を作成するためには、いくつかの鉄則が存在します。第一に、広告文、特に見出しにユーザーが検索したキーワードを含めることです。これにより、ユーザーは自分の探している情報だと瞬時に認識できます。

第二に、具体的な数字を入れることです。「満足度98%」「導入実績500社以上」「3分で完了」など、数字は客観性と説得力を高めます。第三に、商品の特徴(Feature)だけでなく、それによってユーザーが得られる利益(Benefit)を訴求することです。「高機能なカメラ」ではなく「プロ並みの写真が誰でも撮れる」と伝えることが重要です。

さらに、「期間限定」「初回限定割引」といった限定性や緊急性を煽る言葉や、「今すぐ無料相談」「資料請求はこちら」といった明確な行動喚起(CTA)を盛り込むこともCTR向上に繋がります。これらの鉄則を組み合わせ、ユーザーの検索意図に寄り添った広告文を作成しましょう。

コンバージョンを最大化するランディングページ(LP)の要件

リスティング広告をクリックしたユーザーが最終的にコンバージョン(商品購入や問い合わせなど)に至るかどうかは、遷移先であるランディングページ(LP)の出来栄えに大きく依存します。どんなに優れた広告文でユーザーを誘導しても、LPに魅力がなければすぐに離脱されてしまいます。コンバージョンを最大化するLPには、いくつかの共通した要件があります。

最も重要なのは、広告文とLPのメッセージに一貫性があることです。広告で「初回半額」と謳っているのに、LPにその記載がなければユーザーは不信感を抱きます。また、ユーザーが最初に目にするファーストビューで、誰に、何を、どのように提供するのか(ベネフィット)を明確に伝える必要があります。

さらに、申し込みや購入への導線となるCTAボタンは、目立つ色で分かりやすく配置し、文言も「無料で試す」「今すぐ予約する」など行動を促すものにします。入力フォームは項目を最小限に絞り、ユーザーの負担を軽減する(EFO)ことも重要です。これらの要素を最適化することで、LPのコンバージョン率は飛躍的に向上します。

【実践編】アカウント構築と入稿作業

戦略設計が完了したら、次はいよいよ広告アカウントを構築し、入稿作業に移ります。この実践編では、理論を具体的な形にしていくプロセスを解説します。ここで設計するアカウント構造は、後の運用効率や分析のしやすさに直結するため、論理的かつ整理された構築を心がけることが重要です。

効果測定を効率化するキャンペーン構造の設計

広告アカウントの構造は、大きく「キャンペーン」「広告グループ」「キーワード」「広告」の4階層で構成されます。この中でも最上位のキャンペーンの分け方は、予算管理と効果測定の根幹をなすため、非常に重要です。適切なキャンペーン構造を設計することで、予算配分を最適化し、施策ごとの成果を正確に把握できます。

キャンペーンを分ける際の一般的な軸としては、「商材・サービスカテゴリ」「ターゲット地域」「配信デバイス(PC/スマホ)」「目的(認知拡大/コンバージョン獲得)」などが挙げられます。例えば、アパレルECサイトであれば「メンズ」「レディース」「キッズ」でキャンペーンを分けたり、不動産会社であれば「東京」「神奈川」「千葉」といったエリア別に分けたりします。

重要なのは、予算を個別に管理したい単位でキャンペーンを分けることです。また、各キャンペーンには「商品A_東京_スマホ」のように、内容がひと目で分かる命名規則を設けることで、複数人での管理や後々の分析が格段に効率化されます。

品質スコアを意識した広告グループの分け方

広告グループは、キャンペーンの下の階層に位置し、キーワードと広告文を格納する器の役割を果たします。この広告グループの分け方次第で、広告の品質スコアが大きく変動します。品質スコアは、広告の表示順位やクリック単価に直接影響を与えるため、できるだけ高く維持することが運用の鉄則です。

品質スコアを高める鍵は、「キーワード」「広告文」「ランディングページ」の三者の関連性を最大限に高めることです。そのためには、広告グループを意味の近いキーワード群で細かく分ける必要があります。例えば、「英会話スクール」というキャンペーンの中に、「英会話 新宿」「英会話 渋谷」といった地名ごとの広告グループや、「ビジネス英会話」「TOEIC対策」といった目的別の広告グループを作成します。

理想は「1広告グループ・1キーワード(SKAG: Single Keyword Ad Group)」ですが、管理が煩雑になるため、まずはテーマごとにグルーピングすることから始めましょう。これにより、各キーワードに最適化された広告文を作成でき、高い品質スコアの獲得に繋がります。

予算と目標に合わせた入札戦略の選定

入札戦略とは、広告のクリック単価をどのように決定するかという方針のことです。Google広告やYahoo!広告には、手動で上限クリック単価(上限CPC)を設定する方法と、機械学習が自動で入札を最適化する「自動入札戦略」があります。キャンペーンの目的やフェーズ、蓄積されたデータ量に応じて最適な戦略を選ぶことが重要です。

運用開始直後やコンバージョンデータが十分に蓄積されていない段階では、「個別クリック単価制(手動入札)」や、手動入札をベースにコンバージョンの可能性が高い場合に自動で入札を調整する「拡張クリック単価(eCPC)」から始めるのが一般的です。これにより、キーワードごとの細かなコントロールが可能になります。

コンバージョンデータが月に30件以上など安定して蓄積されてきたら、自動入札への移行を検討します。「コンバージョン数の最大化」や「目標コンバージョン単価(tCPA)」といった戦略に切り替えることで、より効率的に目標達成を目指せます。ただし、自動入札は学習期間が必要なため、頻繁な変更は避けるべきです。

コンバージョン計測タグの設定と確認方法

リスティング広告の成果を正確に測定し、最適化を行うためには、コンバージョン計測タグの設置が不可欠です。このタグをWebサイトの「商品購入完了ページ」や「問い合わせ完了ページ(サンクスページ)」に設置することで、どの広告が成果に繋がったのかをトラッキングできます。

タグの設定は、Googleタグマネージャー(GTM)を使用するのが最も効率的で推奨される方法です。GTMを使えば、サイトのHTMLを直接編集することなく、様々な計測タグを管理画面上で一元管理できます。まずGTMでコンバージョンタグを作成し、サンクスページが表示されたときにタグが作動する(発火する)ようにトリガーを設定します。

設定完了後は、必ず正しく計測できているかを確認する必要があります。Google Chromeの拡張機能である「Tag Assistant」を使えば、対象ページでタグが正常に作動しているかを簡単にチェックできます。また、実際にテストコンバージョンを行い、広告管理画面のコンバージョン数に反映されるかを確認する作業も忘れてはなりません。

【改善編】データに基づいた日次・週次・月次の改善アクション

リスティング広告は、配信を開始してからが本当のスタートです。広告アカウントから得られる膨大なデータを分析し、仮説を立て、改善策を実行していく地道なプロセスが成果を大きく左右します。ここでは、日次・週次・月次といった時間軸で、具体的にどのような改善アクションを行うべきかを解説します。

運用担当者が毎日見るべき重要指標一覧

日々の運用において、広告アカウントの健全性を保ち、異常を早期に発見するために毎日チェックすべき基本指標があります。まずは「広告費用(コスト)」です。日予算通りに消化されているか、意図せず高騰していないかを確認します。次に「表示回数」「クリック数」「クリック率(CTR)」を見て、広告がきちんと表示され、ユーザーの興味を引けているかを把握します。

そして最も重要なのが「コンバージョン(CV)数」「コンバージョン率(CVR)」「顧客獲得単価(CPA)」の3つです。これらの成果指標が目標値に対してどう推移しているかを確認し、大きな乖離があれば原因究明に動きます。例えば、急にCVがゼロになった場合、タグの不具合やLPのサーバーダウンなども考えられます。

これらの主要指標を定点観測することで、アカウントの健康状態を常に把握し、大きな問題が発生する前に迅速な対応をとることが可能になります。日々のチェックを怠らないことが、安定した成果を出すための第一歩です。

検索語句レポートを活用したキーワードの追加・除外

検索語句レポート(検索クエリレポート)は、ユーザーが実際にどのような語句で検索して広告をクリックしたかを確認できる、リスティング広告運用における宝の山です。このレポートを定期的に(理想は週次で)分析することで、アカウントの費用対効果を大きく改善できます。

まず注目すべきは、コンバージョンに繋がっているにもかかわらず、まだキーワードとして登録していない有望な検索語句です。これらを発見したら、関連性の高い広告グループにキーワードとして追加(主にフレーズ一致や完全一致で)することで、より安定した広告表示と成果獲得が期待できます。

逆に、クリックはされているものの全くコンバージョンに繋がっていない、あるいは事業内容と関連性の低い検索語句は、広告費の無駄遣いの元凶です。これらの語句は「除外キーワード」として設定し、以降の広告表示を停止させます。この地道な追加・除外の作業を繰り返すことで、広告のターゲティング精度は着実に高まっていきます。

広告表示オプションの最適化によるCTR改善

広告表示オプションは、通常の広告見出しと説明文に加えて、追加の情報を表示できる機能です。これを設定することで広告の表示面積が広がり、視認性が高まるため、クリック率(CTR)の向上に大きく貢献します。無料で設定できるにもかかわらず、見過ごされがちな非常に重要な機能です。

代表的なものに、サイト内の特定ページへのリンクを表示する「サイトリンク表示オプション」、自社の強みや特徴を短いテキストで補足する「コールアウト表示オプション」、商品やサービスのカテゴリをリスト形式で見せる「構造化スニペット表示オプション」などがあります。これらを複数設定することで、ユーザーにより多くの情報を提供し、クリックを促すことができます。

広告表示オプションは、アカウント単位、キャンペーン単位、広告グループ単位で設定が可能です。より関連性の高い情報を表示するために、できるだけ広告グループ単位で、キーワードや広告文の内容に合わせたカスタマイズを行うことが理想です。定期的にパフォーマンスを確認し、内容を更新していくことも忘れないようにしましょう。

広告文のABテストとクリエイティブ改善サイクル

最高の広告文は、一度で完成するものではありません。複数のパターンを試し、データに基づいて改善を繰り返すことで、より効果の高いクリエイティブへと磨き上げられていきます。このプロセスが広告文のABテストです。現在は、複数の見出しと説明文を登録すると、最適な組み合わせを自動で配信・学習してくれる「レスポンシブ検索広告」が主流です。

効果的なABテストを行うためには、一度に多くの要素を変えるのではなく、比較したいポイントを一つに絞ることが重要です。例えば、「価格の安さ」を訴求する広告文と「品質の高さ」を訴求する広告文を比較したり、「今すぐお電話」と「まずは資料請求」のようにCTAの文言を変えてテストしたりします。

一定期間(クリック数が100を超える程度)データを蓄積し、CTRやCVRといった指標で優劣を判断します。そして、成果の悪かった広告文を停止し、良かったものをベースに新たな改善案を加えてテストを繰り返します。このクリエイティブ改善サイクルを継続的に回すことが、広告効果を最大化する鍵となります。

デバイス・地域・時間帯別の入札単価調整

リスティング広告では、すべてのユーザーに対して一律の単価で入札するのではなく、成果の高いセグメントに対して入札を強化し、成果の低いセグメントでは抑制するという「入札単価調整」が可能です。これにより、広告予算をより効率的に配分し、全体のCPAを改善することができます。

管理画面のレポート機能を使えば、「デバイス(PC、スマートフォン、タブレット)」「地域(都道府県や市区町村)」「曜日・時間帯」といったセグメントごとのパフォーマンス(CVRやCPAなど)を確認できます。例えば、BtoB商材であれば平日の日中に、店舗ビジネスであれば店舗周辺エリアや営業時間にコンバージョンが集中する傾向があります。

分析の結果、スマートフォンからのCVRがPCより著しく高いと分かれば、スマートフォンの入札単価を+20%のように引き上げます。逆に、成果の悪いセグメントは-30%のように引き下げます。データに基づいた細やかな調整を行うことで、同じ予算でもより多くのコンバージョンを獲得することが可能になります。

【応用編】リスティング広告の成果をさらに伸ばす高度な手法

基本的な運用改善サイクルを回せるようになったら、次はより高度な手法を取り入れて成果をさらに伸ばすフェーズです。機械学習を活用した自動化機能や、ユーザーの行動履歴に基づいたターゲティングなど、プラットフォームの進化に伴い利用できる戦術は多様化しています。ここでは、一歩進んだ運用テクニックを解説します。

自動入札戦略の活用法と注意点

自動入札戦略は、GoogleやYahoo!の機械学習アルゴリズムが、コンバージョンに至る可能性をリアルタイムで予測し、最適な入札単価を自動で設定してくれる機能です。手動では不可能なシグナル(ユーザーの属性、使用デバイス、時間帯、過去の行動など)を考慮した高度な最適化が可能となり、運用工数の削減にも繋がります。

代表的な戦略には、「目標コンバージョン単価(tCPA)」や「コンバージョン数の最大化」「目標広告費用対効果(tROAS)」などがあります。これらを活用するには、機械学習の判断材料となる十分なコンバージョンデータ(推奨は過去30日間で30件以上)がアカウントに蓄積されていることが前提となります。

注意点として、自動入札を導入してから最適化されるまでには「学習期間」が必要で、この間はパフォーマンスが不安定になることがあります。また、極端な目標設定は配信が抑制される原因になるため、現状のCPAやROASからかけ離れない現実的な目標値を設定することが成功の鍵です。

リマーケティング(リターゲティング)の効果的な活用シナリオ

リマーケティング(Google広告での呼称。Yahoo!広告ではリターゲティング)とは、一度自社のWebサイトを訪れたことがあるユーザーに対して、再度広告を配信する追跡型の広告手法です。自社の商品やサービスに既に関心を持っている、いわば「見込み顧客」に再アプローチするため、非常に高いコンバージョン率が期待できます。

効果を最大化するには、すべてのサイト訪問者に同じ広告を出すのではなく、ユーザーの行動履歴に応じてリストを細分化し、メッセージを出し分けることが重要です。例えば、「TOPページのみ閲覧したユーザー」「商品詳細ページまで見たユーザー」「カートに商品を入れたが購入しなかったユーザー」といったリストを作成します。

そして、カート離脱ユーザーには「今なら10%OFFクーポン」といった購入を後押しする広告を、商品詳細ページを見たユーザーには関連商品の広告を表示するなど、それぞれの状況に合わせたアプローチを行います。このようにシナリオを設計することで、コンバージョンへの最後の一押しとして絶大な効果を発揮します。

動的検索広告(DSA)とP-MAXキャンペーンの使い分け

動的検索広告(DSA: Dynamic Search Ads)とP-MAX(Performance Max)キャンペーンは、いずれも機械学習を活用して広告配信を自動化する強力な機能ですが、その特性と最適な用途は異なります。DSAは、指定したWebサイトのコンテンツをGoogleがクロールし、ユーザーの検索語句と関連性の高いページを自動で選定、そのページ内容に基づいて広告見出しを生成し配信する仕組みです。

DSAは、通常のキーワード指定ではカバーしきれない膨大なロングテールキーワードを網羅的に拾うのに適しており、特に大規模なECサイトや情報サイトで効果を発揮します。一方、P-MAXは検索、ディスプレイ、YouTube、GmailなどGoogleが持つすべての広告枠に対して、一つのキャンペーンで横断的に配信を最適化する統合型のキャンペーンです。

使い分けとしては、幅広い検索ニーズを捉えたい場合はDSAを活用し、特定のコンバージョン目標(例:特定商品の販売促進)に対して、あらゆるチャネルを駆使して成果を最大化したい場合にはP-MAXを選択するというのが基本的な考え方になります。

Googleアナリティクスと連携した詳細な分析方法

Google広告の管理画面だけでも多くのデータを確認できますが、Googleアナリティクス(GA4)と連携させることで、広告の費用対効果をより多角的かつ深く分析することが可能になります。連携は必須の作業と言えるでしょう。連携により、広告経由でサイトに訪れたユーザーのその後の行動を詳細に追跡できます。

例えば、広告管理画面上ではコンバージョンに至らなかったクリックでも、GA4の「アシストコンバージョン」レポートを見れば、そのクリックが後のコンバージョンにどれだけ貢献したか(間接効果)を評価できます。これにより、CPAだけでは判断できないキーワードや広告の真の価値を把握できます。

また、広告キャンペーンごとのユーザーの「直帰率」「セッション時間」「閲覧ページ数」などを分析することで、LPの課題を発見する手がかりにもなります。特定のキャンペーンからの流入ユーザーの直帰率が異常に高い場合、広告の訴求とLPの内容が乖離している可能性が考えられ、LP改善の具体的なアクションに繋げることができます。

リスティング広告運用でよくある課題と解決策

リスティング広告の運用は、常に順風満帆とは限りません。表示回数が伸び悩んだり、CPAが高騰したりと、様々な課題に直面します。重要なのは、問題が発生した際に冷静に原因を分析し、適切な解決策を講じることです。ここでは、運用現場で頻繁に遭遇する代表的な課題とその具体的な対処法を解説します。

「表示回数が少ない」ときの原因と対策

広告の表示回数が想定よりも少ない場合、いくつかの原因が考えられます。まず確認すべきは「入札単価」と「日予算」です。設定した上限クリック単価が低すぎてオークションに勝てていない、あるいは日予算が早々に上限に達してしまい配信機会を損失している可能性があります。この場合、入札単価の引き上げや予算の増額が直接的な解決策となります。

次に考えられるのが「キーワード」の問題です。登録しているキーワードの検索ボリューム自体が非常に小さい、あるいはマッチタイプを「完全一致」に絞りすぎているケースです。キーワードプランナーでボリュームを再調査したり、マッチタイプを「フレーズ一致」や「部分一致」に広げてみることを検討しましょう。

また、「品質スコア」が著しく低い場合も表示機会が制限されます。広告文とキーワード、LPの関連性を見直し、改善を図る必要があります。これらの基本的な要素を確認・修正することで、ほとんどの表示回数の問題は解決に向かいます。

「クリック率は高いがCVしない」ときの改善ポイント

クリック率(CTR)は高いのに、コンバージョン(CV)に繋がらないという状況は、非常にもどかしい問題です。この場合、ユーザーは広告文に魅力を感じてクリックしているものの、遷移先のランディングページ(LP)で期待を裏切られている、あるいは申し込みのハードルが高いと感じている可能性が濃厚です。

改善のポイントは、LPにあります。まず、「広告文とLPのメッセージに一貫性があるか」を確認しましょう。広告で謳っている強みやオファーが、LPのファーストビューで明確に伝わっていなければユーザーはすぐに離脱します。次に、「CTA(行動喚起)ボタンは分かりやすいか」です。ボタンの色や文言、配置を見直し、ユーザーが迷わずアクションを起こせるように設計します。

さらに、「入力フォームの項目が多すぎないか」も重要なチェックポイントです。不要な項目は削減し、ユーザーの入力負担を最小限に抑える(EFO: 入力フォーム最適化)ことで、CVRは大きく改善します。ユーザーの視点に立ち、LPのどこにボトルネックがあるのかを徹底的に分析しましょう。

「CPAが高騰している」場合の対処法

CPA(顧客獲得単価)の高騰は、広告の採算性を悪化させる深刻な問題です。CPAは「コスト ÷ コンバージョン数」で算出されるため、高騰の原因は「コストの増加」か「コンバージョン数の減少」のいずれか、あるいはその両方にあります。対処法としては、まずコスト削減の観点からアプローチするのが定石です。

具体的には、検索語句レポートを精査し、コンバージョンに全く貢献していない無駄なクリックを生んでいる語句を徹底的に「除外キーワード」に設定します。また、長期間CVが発生していないキーワードや広告グループは、思い切って停止することも検討します。さらに、品質スコアを改善してクリック単価(CPC)そのものを下げる努力も重要です。

一方で、コンバージョン数を増やすアプローチも並行して行います。LPの改善によるCVRの向上や、より成果の高い広告クリエイティブへの差し替え、効果的な時間帯や地域への入札強化などが挙げられます。費用対効果の悪い要素を一つずつ特定し、改善を積み重ねていくことがCPA改善への着実な道筋です。

自社運用と代理店活用の判断基準

リスティング広告を始める際、「自社で運用(インハウス)すべきか、専門の代理店に依頼すべきか」は多くの企業が悩むポイントです。それぞれにメリット・デメリットがあり、自社の状況に合わせて判断する必要があります。自社運用の最大のメリットは、代理店手数料がかからずコストを抑えられる点と、自社サービスへの深い理解に基づいた迅速な意思決定が可能な点です。反面、専門知識を持つ人材の確保や育成、運用工数の発生がデメリットとなります。

一方、代理店を活用するメリットは、豊富な運用実績に基づく専門的なノウハウを活用できること、最新情報へのキャッチアップが早いこと、そして運用リソースを外部に任せられる点です。デメリットは、広告費とは別に運用手数料(一般的に広告費の20%)が発生することや、コミュニケーションコストがかかる点です。

判断基準としては、まず「月間の広告予算」が挙げられます。予算が数十万円程度であれば自社運用、数百万円以上であれば代理店活用が一つの目安です。また、「社内に専任のマーケティング担当者がいるか」も重要な要素です。まずは自社でスモールスタートし、ノウハウを蓄積しながら規模の拡大に合わせて代理店活用を検討するという選択肢も有効でしょう。

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監修者

水間 雄紀
代表取締役CEO

株式会社AIMA代表取締役、AIライター協会理事長。AIを正しく使い、日本の企業が抱える課題解決とさらなる発展・成長に尽力。

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