【BtoB/BtoC別】コンテンツマーケティング成功事例10選|戦略立案から効果測定まで徹底解説

【BtoB/BtoC別】コンテンツマーケティング成功事例10選|戦略立案から効果測定まで徹底解説

By AIMA編集部|2025-09-06|9分|監修者: 水間 雄紀

コンテンツマーケティング 事例の実務解説。

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なぜ今、コンテンツマーケティングの「成功事例」から学ぶべきなのか?

デジタル化の進展により、顧客は購買決定プロセスの大半を、営業担当者と接触する前にオンラインで完了させる時代になりました。このような状況下で、企業が顧客と接点を持ち、信頼関係を築く上で「コンテンツマーケティング」の重要性はますます高まっています。しかし、リソースを投下してコンテンツを制作したものの、「思うような成果が出ない」と悩む担当者様も少なくありません。

その突破口となるのが、「成功事例」の分析です。成功事例は、単なる成功談ではありません。そこには、顧客の心を動かした戦略、効果的なコンテンツ形式、そして事業成長につながった具体的なプロセスが凝縮されています。成功事例から学ぶべき理由は、主に以下の3点です。

  • 戦略の解像度が上がる:他社が「誰に」「何を」「どのように」伝えて成功したのかを知ることで、自社の戦略立案における具体的なヒントを得られます。
  • 失敗を回避できる:成功の裏には、無数の試行錯誤があります。事例を分析することで、陥りがちな失敗パターンを事前に学び、回避することが可能です。
  • 新たなアイデアの源泉となる:異業種の成功事例が、自社の業界の常識を打ち破る斬新なアイデアにつながることも少なくありません。

本記事では、BtoBとBtoCの優れたコンテンツマーケティング成功事例を10件厳選し、その成功要因を深掘りします。さらに、事例から学んだエッセンスを自社の戦略に落とし込むための具体的なステップまで、網羅的に解説します。

【BtoB編】目的別に見るコンテンツマーケティング成功事例5選

BtoBのコンテンツマーケティングは、検討期間が長く、合理的な判断が重視される顧客に対し、いかに専門性と信頼性を示せるかが鍵となります。ここでは、目的別に5つの成功事例をご紹介します。

リード獲得:株式会社才流「才流のメソッド」

BtoBコンサルティング企業の才流は、自社のノウハウを惜しみなくブログ記事やホワイトペーパーとして公開しています。特に「メソッド」と称される資料は、具体的なフレームワークや実践的な知見が詰まっており、多くのマーケターから支持されています。高品質なコンテンツをフックに、メルマガ登録や資料ダウンロードを促進し、質の高いリードを安定的に獲得している好例です。

  • 成功要因:専門性の高いノウハウの無償提供による信頼獲得、具体的な課題解決に直結するコンテンツ設計。

ブランディング・採用強化:サイボウズ株式会社「サイボウズ式」

グループウェアで知られるサイボウズが運営するオウンドメディア「サイボウズ式」。自社製品の宣伝はほとんど行わず、「働き方」や「チームワーク」といったテーマを中心に、社会課題に切り込む記事を発信しています。これにより、同社は「新しい働き方を実践する先進的な企業」という強力なブランドイメージを確立。製品の認知度向上だけでなく、採用競争力の強化にも大きく貢献しています。

  • 成功要因:製品から離れた普遍的なテーマ設定、社会性のあるメッセージによる共感の醸成。

リードナーチャリング:株式会社セールスフォース・ジャパン「Salesforceブログ」

CRM/SFAの巨人であるSalesforceは、ブログを通じて「営業」「マーケティング」「DX」など、ターゲット顧客が抱える多岐にわたる課題に対するソリューションを提供しています。初心者向け解説から専門的な活用術まで、顧客の検討フェーズに応じたコンテンツを網羅。一度接点を持った見込み客に対し、継続的に有益な情報を提供することで、信頼関係を深め、商談化へと導いています。

  • 成功要因:ターゲットの課題を網羅するコンテンツ群、検討段階に応じた情報提供による継続的な関係構築。

潜在層へのアプローチ:株式会社ベーシック「ferret」

Webマーケティングツール「ferret One」を提供するベーシックが運営する「ferret」は、Webマーケティングに関する膨大なノウハウを提供する国内最大級のメディアです。SEO対策から広告運用、サイト改善まで、マーケターが必要とする情報を網羅。「Webマーケティングについて知りたい」と考えたユーザーがまず訪れる場所となることで、将来顧客となりうる広範な潜在層との接点を創出しています。

  • 成功要因:圧倒的な情報量と網羅性、潜在層の検索ニーズに応えるSEO戦略。

思想の啓蒙と市場創造:HubSpot Japan株式会社「HubSpotブログ」

「インバウンドマーケティング」という思想を提唱し、自ら実践しているのがHubSpotです。同社のブログやE-Bookは、インバウンド手法の考え方から具体的な実践方法までを徹底的に解説しています。ツールを売る前に、まず思想を啓蒙し、市場そのものを創り出すという壮大な戦略です。これにより、「インバウンドマーケティングといえばHubSpot」という強力なポジションを築いています。

  • 成功要因:自社が提唱する思想の徹底的な発信、教育コンテンツによる市場育成。

【BtoC編】目的別に見るコンテンツマーケティング成功事例5選

BtoCでは、機能的な価値だけでなく、共感や憧れといった情緒的な価値をいかに伝えられるかが重要です。消費者の心を掴んだ5つの事例を見ていきましょう。

ファン化・EC送客:株式会社クラシコム「北欧、暮らしの道具店」

ECサイトでありながら、ライフスタイルメディアとして絶大な人気を誇る「北欧、暮らしの道具店」。商品紹介だけでなく、スタッフの日常や愛用品、読み応えのあるコラム、オリジナルドラマまで制作しています。サイト全体で心地よい世界観を演出し、ユーザーに「こんな暮らしがしたい」という憧れを抱かせることで、単なる消費者ではなく熱狂的なファンを育成。結果として、安定したEC売上につながっています。

  • 成功要因:徹底した世界観の構築、商品ではなくライフスタイルの提案、多様なコンテンツフォーマット。

ブランディング:レッドブル・ジャパン株式会社

レッドブルは「翼をさずける」というブランドメッセージを、エクストリームスポーツや音楽、カルチャーといった分野のイベントやアスリート支援を通じて体現しています。製品の機能性を直接的に訴求するのではなく、ブランドが持つ「挑戦」「革新」といった世界観を体験させるコンテンツを展開。これにより、単なるエナジードリンクではない、唯一無二のブランドポジションを確立しています。

  • 成功要因:製品と直接関連しないテーマでのコンテンツ展開、ブランドメッセージを一貫して体現する体験の提供。

顧客接点の強化:味の素株式会社「AJINOMOTO PARK」

食品メーカーである味の素が運営するレシピサイト「AJINOMOTO PARK」。「今日の献立」に悩む生活者の課題に寄り添い、自社製品を使った豊富なレシピを提案しています。単にレシピを紹介するだけでなく、調理のコツや栄養情報なども提供することで、日々の食生活における頼れるパートナーとしての地位を確立。継続的なサイト訪問を促し、顧客とのエンゲージメントを高めています。

  • 成功要因:顧客の日常的な悩みに寄り添う課題解決型コンテンツ、自社製品の自然な活用シーンの提示。

購買意欲の醸成:株式会社ユニクロ「LifeWear magazine」

ユニクロが発行する「LifeWear magazine」は、紙媒体とWebで展開される無料マガジンです。著名人のインタビューやファッションスナップを通じて、服そのものではなく、服を着る人々の生活や価値観を描き出します。これにより、商品の背景にあるストーリーや哲学を伝え、単なる機能的な衣類ではない「LifeWear」というコンセプトへの理解と共感を促進。顧客の購買意欲を自然に高めています。

  • 成功要因:商品の背景にある思想やストーリーの発信、雑誌という高品質なメディアによるブランド価値の向上。

UGC創出・コミュニティ形成:株式会社ワークマン「#ワークマン女子」

作業服のイメージが強かったワークマンは、高機能・低価格な製品をアウトドアや日常着として活用するインフルエンサーや一般ユーザーに着目。SNS上で「#ワークマン女子」というハッシュタグが自然発生的に広がり、爆発的なブームを巻き起こしました。企業が発信するだけでなく、ユーザー自身がコンテンツ(UGC)を生み出す仕組みを巧みに活用し、コストをかけずに認知度と好感度を劇的に向上させた事例です。

  • 成功要因:ユーザーによる自発的な情報発信(UGC)の活用、SNSコミュニティとの連携。

成功事例から抽出する!自社で応用するための4ステップ戦略

優れた事例をただ眺めているだけでは、自社の成果にはつながりません。ここでは、他社の成功エッセンスを自社の戦略に落とし込むための、具体的な4つのステップを解説します。

ステップ1:目的とKGI/KPIの明確化

まず、「何のためにコンテンツマーケティングを行うのか」という目的を明確にします。「リード獲得」「ブランディング向上」「顧客ロイヤルティ向上」など、事業課題に直結した目的を設定しましょう。その上で、最終目標であるKGI(重要目標達成指標)と、プロセスを測るKPI(重要業績評価指標)を具体的に定めます。(例:KGI:商談数30%増 / KPI:月間ホワイトペーパーDL数500件、SEO経由セッション数1万)

ステップ2:ペルソナとカスタマージャーニーの再定義

次に、「誰に」情報を届けるのかを定義します。理想の顧客像である「ペルソナ」を詳細に設定し、そのペルソナが課題を認知し、情報収集、比較検討を経て購買に至るまでの思考や行動のプロセス「カスタマージャーニー」を描き出します。成功事例がどの段階の、どのような課題を持つ顧客にアプローチしていたかを分析し、自社のターゲット設定に活かしましょう。

ステップ3:コンテンツフォーマットと配信チャネルの選定

ペルソナがカスタマージャーニーの各段階で、どのような情報を、どのような形式(ブログ、動画、ホワイトペーパー、SNSなど)で求めているかを考えます。そして、そのコンテンツを届けるのに最適なチャネル(自社サイト、SNS、Web広告、メルマガなど)を選定します。BtoBであれば専門性の高いブログ記事やセミナー、BtoCであれば共感を呼ぶSNS投稿や動画など、事例を参考にしながら最適な組み合わせを検討します。

ステップ4:効果測定と改善サイクルの構築

コンテンツは公開して終わりではありません。ステップ1で設定したKPIを元に、定期的に効果を測定し、改善を繰り返すPDCAサイクルを回すことが不可欠です。Google Analyticsなどのツールを用いてアクセス数やCVRを分析し、「どのコンテンツが成果につながっているのか」「どこに改善の余地があるのか」をデータに基づいて判断し、次の施策に活かしていきます。

明日から使える!コンテンツマーケティング施策チェックリスト

自社の取り組みを客観的に見直すために、以下のチェックリストをご活用ください。

  • 【戦略・計画フェーズ】
    • 事業課題とコンテンツマーケティングの目的はリンクしているか?
    • 具体的なKGI/KPIが設定されているか?
    • ターゲットとなるペルソナは明確か?
    • カスタマージャーニーマップは描けているか?
    • 競合他社のコンテンツは分析済みか?
  • 【コンテンツ制作フェーズ】
    • 各コンテンツはペルソナの課題解決に貢献しているか?
    • 独自性や専門性は担保されているか?
    • SEOの基本(キーワード選定、タイトル、見出し)は押さえられているか?
    • CTA(行動喚起)は適切に設置されているか?
  • 【配信・拡散フェーズ】
    • ターゲットに合わせた最適なチャネルで配信しているか?
    • SNSやメルマガなどを活用した拡散施策を計画しているか?
    • 定期的なコンテンツ配信スケジュールは立てられているか?
  • 【効果測定・改善フェーズ】
    • KPIを定期的に計測する仕組みはあるか?
    • 分析結果を次のコンテンツ企画やリライトに活かせているか?
    • 成果が出た要因・出なかった要因を言語化できているか?

まとめ:成功事例はあくまで参考。自社に最適な戦略を描こう

本記事では、BtoBとBtoCのコンテンツマーケティング成功事例と、そこから学び自社に応用するための具体的な戦略ステップを解説しました。数々の成功事例は、私たちに多くの示唆を与えてくれますが、最も重要なのは「成功事例をそのまま模倣するのではなく、自社の目的や顧客、リソースに合わせて戦略を最適化すること」です。

他社の成功要因を深く理解し、そのエッセンスを抽出した上で、自社ならではの価値を届けるコンテンツは何かを問い続けること。それこそが、コンテンツマーケティングを成功に導く唯一の道です。この記事が、その第一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。

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監修者

水間 雄紀
代表取締役CEO

株式会社AIMA代表取締役、AIライター協会理事長。AIを正しく使い、日本の企業が抱える課題解決とさらなる発展・成長に尽力。

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