Snap、完全AI動画をおすすめ対象外に 投稿禁止ではない新ルール

- Snapは2026年7月、完全にAIで作った動画を、Snapchatの短編動画欄「Spotlight」でおすすめしない方針へ変更した
- AI動画の投稿を一律に禁止する発表ではなく、人が作った動画をAIで編集・補助した場合は、AI利用を示す表示付きでおすすめ対象に残る
- YouTubeは現実的なAI映像へ表示を求めつつ、表示だけで視聴範囲や収益化を制限しないため、企業はSNSごとに制作方法と配信条件を分けて管理する必要がある
Snapが完全AI生成動画をSpotlightのおすすめ対象外に
Snapは2026年7月31日、Snapchat内の短編動画欄「Spotlight」で、完全にAIで作られた動画を同月からおすすめ対象外にすると発表しました。Spotlightは、不特定多数へ動画を見つけてもらうための配信面です。今回変わるのは、そのおすすめに載る資格です。
重要なのは、公式発表が「AI動画を投稿できなくする」「アカウントを停止する」「既存動画を削除する」とは説明していない点です。対象はあくまで、完全AI生成動画のSpotlightでの推薦です。したがって「SnapchatがAI動画を全面禁止」とまとめるのは正確ではありません。
今月から今後、完全にAIで生成された動画は、Spotlightでおすすめされる対象ではなくなります。
出典:Snap公式発表(原文を日本語訳)
Snapは理由として、低品質で反復的なAI生成コンテンツがインターネット上で増えていることを挙げました。同社は、実在する人の視点、個人的な物語、自分で撮影して共有する瞬間を優先したいとしています。世界のSpotlight投稿者数は前年より120%以上増えたとも説明していますが、脚注の詳しい集計方法は記事本文で示されていません。
AIを少しでも使えば対象外、ではない
線引きは「完全にAIで作ったか」です。Snapは、AIそのものを拒否する方針ではないと明記しました。SnapchatのAI制作機能を使って、人が作った内容を補強・編集した動画は、おすすめ対象に残り、AI利用を知らせる表示が付くとしています。
| 動画の作り方 | Spotlightでの扱い | 公式発表で確認できること |
|---|---|---|
| 映像全体をAIで生成 | おすすめ対象外 | 2026年7月から適用 |
| 人が作った動画をSnapchatのAI機能で編集・補助 | おすすめ対象に残る | AI利用を示す表示が付く |
| AI動画の投稿・保存・削除 | 今回の発表だけでは断定できない | 推薦資格の変更として説明 |
| 判定を誤った場合の異議申し立て | 未発表 | 検出は完全ではないとSnap自身が説明 |
これはAIを拒否するものではありません。AIは創作過程で重要な役割を果たし、新しい表現を生み出せると考えています。
出典:Snap公式発表(原文を日本語訳)
ただし「完全AI生成」と「AIで強く編集した人間制作」の具体的な判定基準は、発表では示されていません。例えば、人物だけを撮影し、背景、声、動きの大部分をAIで置き換えた動画がどちらになるかは不明です。企業は「人が少し触ったから大丈夫」と自己判断せず、元動画と編集工程を残す必要があります。
前段階ではAI動画を減らす方針をすでに表明
今回の変更は突然始まったものではありません。Snapは2026年4月2日、SpotlightではSnapchatのカメラで作った独自コンテンツを重視し、合成AI動画や広く使い回された投稿を減らす方針を公表していました。7月の発表は、その方向を「完全AI生成動画はおすすめ対象外」という具体的な配信条件へ進めたものです。
4月時点の説明では、米国でSpotlightへ毎日投稿するクリエイターが2026年第1四半期に前年同期比70%以上増え、毎日投稿する人は投稿しない人よりフォロワーが10倍以上速く増えているとされました。SnapにとってSpotlightは、単なる動画置き場ではなく、投稿者の成長を左右するおすすめ面です。そこから外れることは、削除されなくても、見つけてもらう機会が大きく減る可能性があります。
Spotlightで独自コンテンツを高く評価することに注力するため、合成AI動画や広く使い回された投稿は少なくなります。
出典:Snap公式・2026年4月の方針(原文を日本語訳)
YouTubeとは「表示」と「配信」の扱いが違う
AI深報は、Snapの方針をYouTubeの公式ルールと照合しました。YouTubeは、実在する人がしていない言動をしたように見せる、実際の出来事や場所を変える、起きていない現実的な場面を作る、といったAI生成・大幅編集コンテンツに開示を求めています。
YouTubeは、正しくAI利用を開示しただけでは、動画の視聴範囲や収益化資格に影響しないと明記しています。一方で、量産型、一般的、反復的で、本物らしさに欠けるコンテンツは、AIかどうかに限らず収益化対象外になり得ます。
| サービス | 主な対象 | 確認できた扱い |
|---|---|---|
| Snapchat Spotlight | 完全AI生成動画 | おすすめ対象外。AI編集・補助は表示付きで対象に残る |
| YouTube | 現実的なAI生成・大幅編集 | 開示表示が必要。開示だけでは視聴範囲や収益化を制限しない |
| YouTube収益化 | 量産型・反復的・独自性の低い動画 | AI利用の有無だけでなく、チャンネル全体の独自性を審査 |
つまり、同じAI動画でも「AIと表示すれば配信できる場所」と「完全AI生成ならおすすめへ載せない場所」があります。1本の動画を複数SNSへそのまま配る運用では、あるサービスで問題がなくても、別のサービスで露出や収益化を失う可能性があります。
企業と投稿者が今すぐ見直す5項目
企業の広報、採用、商品紹介、店舗アカウントでは、完成動画だけを保存するのでは足りません。AI深報は公式資料の違いから、次の5項目を最低限の管理方法として整理しました。
- 撮影素材を残す:人が撮影した元動画、台本、ナレーション、編集前データを保存する
- AI利用箇所を記録する:背景生成、音声変更、人物生成、字幕補助などを制作台帳に書く
- SNS別に確認する:投稿、推薦、収益化、広告利用のルールを別々に見る
- 表示を確認する:AI利用を示すラベルが必要か、投稿画面で毎回確認する
- 露出を分けて測る:再生数だけでなく、おすすめ経由、フォロワー、検索経由を分けて記録する
特に外部の制作会社へ動画を発注する場合は、「AI使用可」だけで終わらせず、映像全体の生成か、一部編集か、元素材を納品できるかを契約や発注書で明確にします。プラットフォームの判定へ異議を申し立てる仕組みが今後示された場合にも、制作記録が説明材料になります。
まだ分からないことと、今回の本当の意味
Snapは、完全AI生成を判定する技術、誤判定率、対象地域、違反時の通知、異議申し立て方法を公表していません。「完璧な検出システムはない」と認めているため、人間制作の動画が誤って対象外になる可能性も、AI生成動画を見逃す可能性も残ります。
今回の変化は、AIコンテンツを消す話というより、おすすめ欄という限られた場所を誰へ渡すかという配分の変更です。投稿が残っても、おすすめされなければ届きにくくなります。今後は「投稿できるか」だけでなく、「おすすめされるか」「収益化できるか」「AI表示が必要か」を別々に確認することが重要です。
Snapの発表はAI動画の全面禁止ではありません。完全AI生成、AI編集、投稿、推薦の4段階を分け、YouTubeの開示・収益化ルールとも比較すると、企業が残すべき制作記録が見えてきます。詳しい判定基準と異議申し立て方法は未公表です。
※ 本記事は公開時点の一次情報にもとづいています。最新の状況は出典をご確認ください。
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監修者:水間 雄紀
株式会社AIMA 代表取締役
1986年和歌山県生まれ、近畿大学卒。金融機関、経営コンサルティング会社を経て、2018年にコンテンツ制作の専門会社である株式会社circlizeを創業。2024年、ラグザス株式会社に事業譲渡。現在は株式会社AIMAにてAI×マーケティング事業に従事し、株式会社ラグザス・クリエイトでコンテンツの品質管理責任者を務める。
監修者・運営会社について