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Google EarthのAI画像生成、1日で撤回 偽の災害画像が示した落とし穴

Google EarthのAI画像生成、1日で撤回 偽の災害画像が示した落とし穴
3行でわかる
  • Googleは、Google Earthの実在する場所を文章だけで作り変えられるAI画像生成機能を、世界公開の翌日に撤回した
  • 偽の災害や紛争画像が作られたが、他人が見るGoogle Earth本体の地図が書き換わったわけではなく、生成画像にはAIを示す電子透かしも入っていた
  • それでもスクリーンショットは地図の信用を借りて広がるため、会社は座標の現物確認、撮影日、原本、電子透かし、別資料の5点で判断する必要がある

Googleが世界公開の翌日に機能を撤回

Googleは2026年7月30日、ウェブ版Google Earthへ画像生成AI「Nano Banana 2」を組み込み、世界向けに提供すると発表しました。利用者が場所を選び、「画像を作成」を押して文章を入力すると、実際の衛星画像、航空写真、3D画像を土台に、過去の街並み、建築計画、空想の都市などを描ける機能でした。

ところがGoogleは翌31日、生成画像のスクリーンショットが同社の方針に反する形で共有されたとして、機能を撤回しました。より強い安全対策を実装するまで停止する方針です。発表から撤回まで24時間前後で、BBCは「48時間未満」と報じています。

Google Earthが信頼できる世界の眺めとして特別に信用されていることを、私たちは理解しています。生成画像のスクリーンショットが方針に反する形で共有されているため、より強い安全対策を実装する間、この機能を撤回します。

出典:Google公式発表・7月31日追記(原文を日本語訳)

Googleは再提供の日付、追加する安全対策、対象地域を公表していません。したがって現時点では「終了」ではなく、再開時期未定の撤回です。

何が作れたのか BBCは偽の災害・紛争画像を確認

Googleが公式に想定した用途には、ポンペイ遺跡の昔の姿を再現する授業、自由の女神の解説図、東京の空き地に商業施設を置く不動産計画、住宅の完成予想などがありました。実在する場所と生成AIを一画面で組み合わせられることが特徴です。

一方、BBC Verifyは機能を試し、崩壊したエッフェル塔、ギザの大ピラミッドをのみ込む陥没穴、キーウにいるロシア軍戦車といった、実際には起きていない画像を作れたと報じました。別の調査者は、イランの存在しない原子力施設、米国とメキシコの国境にある偽の難民キャンプ、ガザの病院横の爆撃跡を生成しました。

BBCによると、有害な内容を止める仕組みはありましたが、表現を少し変えると通る例がありました。BBCの検証は第三者による実利用報告であり、AI深報は機能停止後のため同じ画像を再生成していません。

偽造画像は、それ単体で説得力がある必要はない。本物の座標と本物の画像へ結び付けられ、作られた地図の信用を受け継ぐ。

出典:BBC Verify・専門家Henk van Ess氏の説明(原文を日本語訳)

誤解してはいけない点 公開地図そのものは変わっていない

今回のニュースを「誰かがGoogle Earthの地図を偽物へ書き換えられた」と受け取るのは正確ではありません。Googleは、生成画像は他の利用者が見るGoogle Earthの主要画面には表示されなかったと説明しています。利用者が作った画像を保存し、外部でスクリーンショットとして共有できたことが問題でした。

項目確認できた事実
Google Earthの公開地図生成画像で他人の地図が書き換わる機能ではなかった
画像の土台実在地点の衛星、航空、3D画像を使えた
外部共有生成結果をダウンロードし、スクリーンショットとして共有できた
AI表示Googleは生成画像にAI生成の印とSynthIDを入れたと説明
現在より強い安全対策を実装するまで撤回

Google Earthの通常の衛星・航空画像は、衛星や航空機のカメラで撮影され、撮影日時を持ちます。ただし複数日の画像を組み合わせる場合があり、3D表示には複数の航空写真を処理した画像が使われるため、画面だけで撮影時刻を断定できない場合があります。もともとGoogle Earthは「現地の今を映すライブカメラ」ではありません。

電子透かしがあっても「検出なし=本物」ではない

Googleは生成画像へ、目では見えない電子透かし「SynthID」を入れました。Geminiへ画像をアップロードしてAI生成か尋ねると、GoogleのAIで作成・編集された画像かを確認できます。Googleは、拡大縮小、色変更、圧縮などをしても電子透かしが通常は残ると説明しています。

ただしGoogleのヘルプには明確な限界があります。SynthIDを検出できなかった場合に分かるのは「GoogleのAIで作った印を見つけられなかった」ことだけで、他社AIで作られた可能性は残ります。細かな編集や情報量の少ない画像では結果が不明になる場合もあり、何度も加工すると検出されないことがあります。

BBC Verifyも、多くの生成画像では確認機能が働いた一方、Geminiを誤認させる例や、外部のAI検出サービスが判定できない例があったと報告しています。電子透かしとAI判定は有力な手掛かりですが、真偽を一発で決める鑑定書ではありません。

SynthIDが検出されなくても、その画像が他のAIシステムで作られた可能性はあります。場合によっては、GoogleのAIで作成・編集されたか明確に判断できません。

出典:Google Gemini公式ヘルプ・確認結果の限界(原文を日本語訳)

会社で画像を確認する5手順

AI深報は、Googleの公開・撤回文、Google Earthの画像説明、Geminiの確認手順、BBCの検証結果を照合しました。会社が災害、建設、物流、保険、報道、投資判断などで地図画像を使う場合、見た目やAI判定だけに頼らず、次の5手順で確認します。

順番確認すること理由
1 座標送られた画像ではなく、Google Earthや別の地図を自分で開いて同じ場所を見る主要画面の現物とスクリーンショットを分ける
2 日付画像の撮影日、取得日、提供元を確認する古い画像や複数日の合成を「今」と誤解しない
3 原本切り抜きではなく元ファイル、共有URL、作成者、入手経路を求める加工履歴や文脈を残す
4 生成確認GeminiのSynthID確認、Content Credentials、逆画像検索を併用する一つの検出結果へ依存しない
5 別資料別の衛星サービス、現地写真、公的発表、複数報道と照合する画像だけで重要判断をしない

特に「Google Earthの画面に見えるから本物」という判断を社内手順から外すことが重要です。取引先やSNSから届いた画像を稟議、危機対応、投資判断の根拠にする場合は、画像を送った本人とは別の担当者が座標と別資料を確認します。急ぐ災害や紛争ほど情報が少なく、もっともらしい一枚の影響が大きくなります。

今回の撤回が示した本当の問題

画像生成AIだけなら、Google Earthの画面を保存して別のAIで加工することは以前から可能でした。今回の違いは、実在地点を探す、地図画像を取り込む、文章で編集するという工程が一つの信頼されたサービス内でつながったことです。作る手間が下がり、生成物が地図の見た目と座標をまといました。

Googleは問題を認めて短期間で撤回し、公開地図は書き換わらない設計と電子透かしも用意していました。それでも、生成後に外へ持ち出されたスクリーンショットの文脈までは保てませんでした。企業が学ぶべき点は、安全機能があるかだけでなく、生成物がサービス外へ出た後も「何が本物で、誰が作ったか」を確認できる運用になっているかです。

公開翌日の撤回だけを見て、Google Earthの公開地図が改変されたと受け取るのは誤りです。公開地図は未改変で、生成画像には電子透かしがありましたが、検出されない画像が本物だという証明にはなりません。会社では座標、日付、原本、生成表示、別資料の順で確認する必要があります。

※ 本記事は公開時点の一次情報にもとづいています。最新の状況は出典をご確認ください。

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監修者 水間 雄紀

監修者:水間 雄紀

株式会社AIMA 代表取締役

1986年和歌山県生まれ、近畿大学卒。金融機関、経営コンサルティング会社を経て、2018年にコンテンツ制作の専門会社である株式会社circlizeを創業。2024年、ラグザス株式会社に事業譲渡。現在は株式会社AIMAにてAI×マーケティング事業に従事し、株式会社ラグザス・クリエイトでコンテンツの品質管理責任者を務める。

監修者・運営会社について
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