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ExcelやメールをAIに任せる時代へ Copilot Coworkの料金の落とし穴

ExcelやメールをAIに任せる時代へ Copilot Coworkの料金の落とし穴
3行でわかる
  • NTTデータ先端技術は、メール対応、帳票作成、書類処理などをMicrosoft 365 Copilot Coworkへ任せる社内実証を進めている
  • 利用にはMicrosoft 365 Copilotの固定ライセンスに加えて従量課金が必要で、公式試算例では一般的な会社員1人で月142.50ドル相当になる
  • 会社は全員へ一斉開放せず、対象業務、1人当たり上限、人が承認する操作、1件当たりの削減時間を決めて小さく試すのが安全だ

メールやExcelの作業をAIへまとめて任せる

NTTデータ先端技術は2026年7月27日、Microsoft 365 Copilot Coworkを使い、営業事務を効率化する社内実証を進めていると発表しました。対象は問い合わせ対応、帳票作成、書類処理などです。AIが複数の手順を続けて実行し、現場の担当者が自然な日本語で運用や改善を進められるかを確かめます。

Copilot Coworkは、質問に答えるだけのチャットではありません。Outlookでメールを作成・送信し、会議を設定し、Word、Excel、PowerPoint、PDFを作り、Teamsへ投稿し、OneDriveやSharePointのファイルを扱えます。重要な操作の前には利用者へ承認を求めます。簡単に言えば、同じ会社員が画面を切り替えながら進めていた仕事を、AIが途中まで、または最後まで代行する仕組みです。

Copilot Cowork executes complex, long-running, multi-tool tasks.

出典:Microsoft「Copilot Cowork is now generally available」

新しい点は「答え」ではなく「実行」

通常のCopilot Chatは、文章の下書き、要約、質問への回答など、短い作業を得意とします。Coworkは複数のアプリと資料をまたぎ、数分から数時間かかる一連の仕事を進めます。例えば、メールと会議記録を読み、報告書と説明資料を作り、関係者への連絡文まで用意する、といった使い方です。

比較Copilot ChatCopilot Cowork
主な役割質問、要約、下書き複数手順の仕事を実行
時間の目安数秒〜数分数分〜数時間
扱う範囲1回の会話や単一作業複数のアプリ、資料、操作
料金の考え方契約プラン内の利用が中心固定ライセンスに加えて従量課金

この違いは、会社のAI導入を「社員がAIへ質問する」段階から「AIへ仕事を割り当てる」段階へ進めます。その一方で、AIが長く動き、多くの資料や道具を使うほど料金が増えるため、利用回数だけでは費用を予測できません。

「1クレジット0.01ドル」の本当の総額

Copilot Coworkを使うには、Microsoft 365 Copilot User Subscription Licenseという1人ごとの固定ライセンスが必要です。その上で、実行した仕事に応じてCopilot Creditsが追加で請求されます。PayGoと呼ばれる従量払いは1クレジット0.01ドルです。前払いのP3では利用量を先に約束する代わりに割引があります。

1回の仕事で使うクレジットは固定ではありません。Microsoftは、使ったAIモデル、社内情報の取得量、ツールの呼び出し回数、実行時間の4項目から計算すると説明しています。モデルの応答だけでなく、Excel操作、画像生成、ブラウザー作業なども消費対象です。

AI深報はMicrosoftが配布する公式の費用試算表を確認しました。2026年5月27日時点の試験利用をもとに、軽い仕事は125クレジット、標準的な仕事は500クレジット、重い仕事は1,200クレジットを初期値としています。従量料金に直すと、1回当たりそれぞれ1.25ドル、5ドル、12ドルです。

仕事の重さ公式試算のクレジットPayGoの料金換算例
軽い1251.25ドル少数の資料、出力1件以下
標準5005ドル複数資料、出力2件以上
重い1,20012ドル広い情報収集、多数の出力

公式試算では1人月82.25〜228ドル

試算表には、4種類の働き方について月間の利用例が入っています。一般的な会社員は軽い仕事22回、標準11回、重い仕事5回で、合計14,250クレジット、月142.50ドル相当です。管理職は月82.25ドル、技術職は重い仕事が多いため月228ドル相当です。これは固定のMicrosoft 365 Copilotライセンス料金を含みません。

公式試算の利用者像軽い/標準/重い仕事(月)従量料金の月額換算
一般的な会社員22/11/5回142.50ドル
顧客対応・営業系17/13/5回146.25ドル
技術職12/9/14回228.00ドル
管理職13/6/3回82.25ドル

ここが「Claude Coworkより平均30〜40%安い」という説明だけでは分からない点です。Microsoftの比較は、2026年6月に行った125回、12種類の仕事、同じAnthropic Opus 4.8を使った社内テストです。比較相手より安いことと、会社の予算内に収まることは別です。実際の総額は、利用者数、仕事の回数と重さ、固定ライセンス、前払い割引を合わせて判断する必要があります。

Actual costs and potential savings may vary.

出典:Microsoft・費用比較の注記

日本企業の実証が示す「現場だけに任せない」運用

NTTデータ先端技術の実証では、Microsoft 365に詳しい技術者が検証、開発、手順作りを担当し、営業事務の担当者が用意された手順をもとに日々の運用と改善を進めています。単にAIを全員へ渡すのではなく、専門家が安全な使い方の土台を作り、現場が仕事に合わせて育てる分担です。

同社は、AIが得意な情報の読み取り、複数手順の整理、下書き作成と、AIだけでは保証できない仕事を分けています。成果の正確さや業務時間の削減率はまだ発表されていません。実証中であり、「営業事務を自動化できた」と確定した段階ではないことに注意が必要です。

また、Coworkは既定では無効です。管理者が利用者を決め、会社全体、部署、個人ごとに月間上限や警告を設定できます。誰が、どの機能で、何クレジット使ったかも確認できます。メール送信や共有システムの変更は原則として承認を求めますが、自動実行を事前許可する設定もあるため、権限の確認が欠かせません。

導入前に確認する5項目

  1. 対象業務を3つ以内に絞る:問い合わせの下書き、帳票作成、会議準備など、回数と所要時間を測れる仕事から始める。
  2. 月額上限を先に設定する:会社、部署、個人の上限と警告を設定し、最初から無制限にしない。
  3. 人の承認を残す:メール送信、予定登録、共有ファイル変更、社外公開はAIだけで確定させない。
  4. 1件当たりの費用と時間を比べる:クレジットだけでなく、人が何分短縮できたか、修正に何分かかったかを記録する。
  5. 月末に続行条件を判断する:正確さ、削減時間、従量料金、事故や差し戻しを比べ、対象を広げるか止めるか決める。

例えば月142.50ドル相当を使っても、本人の作業が月10時間減り、内容も正確なら費用に見合う可能性があります。反対に、修正や確認で同じ時間がかかるなら、AIが多くの仕事を実行しただけでは導入効果とは言えません。見るべき数字は「利用回数」ではなく、「承認後に使えた成果1件の総費用」と「実際に減った人の時間」です。

注意点と限界

公式試算表の数値は、Coworkの試験プログラムに参加した顧客の集計値をもとにした説明用の初期値です。Anthropic Opus 4.8を使う前提で、将来の費用や全社の利用を保証するものではありません。選ぶモデル、資料の量、仕事の長さ、ツールの回数により実際の消費は変わります。

1クレジット0.01ドルはMicrosoftが示すPayGoの米ドル価格です。日本での請求額、税、為替、契約先、前払い割引は会社ごとに確認が必要です。AI深報はCoworkを実機で動かしておらず、出力の正確さ、操作時間、実際のクレジット消費を独自測定していません。

Microsoftの公式試算では、仕事1回の従量料金は軽い作業で1.25ドル、標準で5ドル、重い作業で12ドルです。一般的な会社員の例は月142.50ドル相当で、固定ライセンスも別に必要です。国内実証はまだ成果が確定した段階ではありません。

※ 本記事は公開時点の一次情報にもとづいています。最新の状況は出典をご確認ください。

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監修者 水間 雄紀

監修者:水間 雄紀

株式会社AIMA 代表取締役

1986年和歌山県生まれ、近畿大学卒。金融機関、経営コンサルティング会社を経て、2018年にコンテンツ制作の専門会社である株式会社circlizeを創業。2024年、ラグザス株式会社に事業譲渡。現在は株式会社AIMAにてAI×マーケティング事業に従事し、株式会社ラグザス・クリエイトでコンテンツの品質管理責任者を務める。

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